2015.02.16更新

「明渡し断行」の強制執行ってなに?

 

 先日、とあるマンションの一室の明渡し断行の強制執行に立ち会いました。「明渡し断行」とは、簡単に言えば、建物(貸室)を占拠する居住者を強制的に立ち退かせる手続です。もちろん強制執行ですから、あらかじめ貸室の明渡しを求める裁判に勝訴し、判決をもらったうえでの実施です。

 

 手続ですが、債権者(大家)が貸室明渡しの強制執行を申し立てると、最初に執行官、執行補助者、立会人、鍵屋、債権者(又は代理人である弁護士)が現地に赴き、債務者(居住者)に対して明渡しを催告します。執行官がインターホンを鳴らし、応答がなければ、同行した鍵屋がドア鍵を解錠して中に入ります。

 

 今回は、居留守をつかわれたので、スペアキーでドアを開けると打ち鍵がかかっていてドアは開きませんでした。同行した鍵屋がスコープを使って中を確認し工具でドアを開けようとすると、居住者が鍵を開けて出てきました。居住者は、事態を把握できないらしく、執行官の言っていることも理解していない様子でした。結局その日は1ヶ月後に明渡しを断行すると予告して帰りました。このとき部屋の中に、明渡し期限を書いた公示書を貼ります。その期限が先日の断行日だったわけです。

 

明渡しに応じない居住者は強制的に退去を迫られる!

 

 貸室等の明渡しの強制執行では、通常は断行日までに自主的に退去するケースが殆どです。しかし、まれに自主的に退去しない居住者もいます。

 

 今回も、自主的退去が期待できないと予想されたため、私は数日前に現地に赴き、居住の有無を確認しました。インターフォンを鳴らすと居住者から返答がありました。ドア越しに居住者と話しをすると、どうやら精神的な病を患っているようでした。そのため、私は、区の福祉課に連絡を入れ、生活保護の担当者に状況を説明し、支援を要請しました。

 

 断行日の前日は雨で時折雪が混じるほど寒い一日でした。さすがにこんなに寒い日に追いだされるのは気の毒だなあと思っていたところ、幸い断行日は晴れて、比較的暖かくなり、ほっとしました。

 

 当日予定時刻に現地に到着すると、居住者が自主的に引越の準備をはじめ、執行官が同行した総勢5、6名ほどの業者が次々と荷物を搬出し、小一時間ほどで明渡しは全て完了しました。

 居住者は、区の福祉課のあっせんで一時保護施設に入所できるらしく、荷物も運び出されていきました。

 

 いろいろ事情があって明渡しの強制執行になった事件で、一時はどうなることかと気をもみましたが、ふたを開けてみると滞りなく終わり、ひと安心した一日でした。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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