2015.07.04更新

Q.私は夫と20年来の内縁関係にありました。先日、夫が亡くなり、大家さんにそのことを伝えたところ、夫には収入があったので建物を貸していたが、私には収入がないので出て行って欲しいと言われてしまいました。私は、出て行かなければならないのでしょうか。私は無職ですが、夫の加入していた厚生年金から遺族年金がおりる予定で、家賃は今までどおり支払っていけそうです。なお、夫は再婚ですが、前妻との間に子供がいるかどうかは分かりません。

 

A.家賃を払い続けて住み続けることが可能!

 

 亡くなった夫と前妻との間に子供がいるかどうかにかかわらず、質問者は大家(賃貸人)に対し、居住の権利を主張することが可能ですので、このまま家賃を支払いながら住み続けることが可能です。大家が家賃を受け取らない場合には、法務局に家賃を供託することも可能です。

 

 夫婦には、いろいろな事情から籍を入れずに生活する方が大勢います。そのような方々(内縁の夫婦)も、夫婦である以上、法律上できるだけ入籍をした正式な夫婦と同様に取り扱うことが望ましいと考えられており、法律や判例もこれに沿った考え方がとられています。

 しかし、内縁の配偶者には相続権がありませんので、賃貸借の契約者である他方が亡くなっても、当然にはその地位を引き継ぐことはできません。

 

内縁の夫に相続人がいてもいなくても居住の権利を主張できる!

 

 そこで、法律及び判例は、内縁の夫婦の一方がその名で借りた住居に夫婦が居住してきた場合に、名義人が亡くなっても残された配偶者が安心して暮らしていけるよう内縁配偶者に一定の権利を認めています。

 

 一つは、借地借家法の規定で、居住用建物の賃借人が相続人なしに亡くなった場合、その当時婚姻の届出をしていなかったけれども、賃借人と事実上夫婦と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者が建物の賃借人の権利義務を承継する、と定めています(民法第36条)。
 ですから、夫に相続人である子や親兄妹がいなければ、質問者は当然に夫の賃借人としての地位を引き継ぐことができます。

 

 もう一つは、判例で、建物の賃借人が亡くなった場合、残された内縁配偶者は、亡くなった配偶者の相続人が承継をした賃借人の地位を援用して、賃貸人に居住の権利を主張できる、としています(最高裁判昭和42年2月21日判決)。

 

 この場合、相続人が家賃を支払わない場合は、賃貸人から契約を解除されるおそれがありますので、残された内縁配偶者は、契約を解除されないため、利害関係人として賃貸人に家賃の立替払いをすることが必要となってきます。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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