2015.07.10更新

Q.最近、年をとったせいか、自分が死んだ後のことを考えるようになりました。大した財産があるわけではありませんが、私が死んだ後、わずかな遺産をめぐって家族が争うようなことがないようにしたいと思っています。遺言には、自筆証書遺言というものがあると聞きました。具体的にどのように作成すればよいのでしょうか。


A.自筆証書遺言は便利だけれども厳しい要件が!

 

 自筆証書遺言は、遺言者が遺言の内容全部を自分で筆記し、日付及び氏名を自書し、最後に押印することによって作成します。書き損じた場合は、元の記載内容が分かるように訂正あるいは変更をして変更場所に押印し、欄外に訂正をしたことを付記して署名する必要があります(民法968条)。


 遺言は、効力が発生した時点で遺言者が死亡していますので、後で遺言者の意思を確認することができません。そのため、遺言者の最終意思である遺言の内容が正確に書面に表され、内容が実現されるように、民法では遺言は法律の定める方式によらなければ効力を生じないとされています。したがって、たとえ故人の意思が表れていたとしても、単なるメモや録音、日記などでは遺言としての法的効力は認められません。

 

 遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、緊急の場合の特別方式の遺言があります。このうち、自筆証書遺言は、もっとも基本的な遺言の方式で、費用もかからず簡便に作成することができますので便利です。しかし、偽造や変造がされやすく、内容を秘匿できないなどのデメリットがあります。また、公正証書遺言と違って、遺言の保管者は、相続の発生を知った後、遅滞なく家庭裁判所に遺言を提出して検認を請求しなければなりません。相続人が遺言を発見した場合も同様です(民法1004条)。

 

自筆証書遺言を作成するポイント

 

 ところで、自筆証書遺言の作成にあたって留意すべき点は、次のとおりです。

 

①遺言の内容は、全文を手書きしなければなりません。ワープロ打ちをしたもの、他人に口頭で告げて代筆してもらったもの、点字で記したもの、録音などは、いずれも無効です。内容は必ずしも日本語でなくても構いません。

 

②日付は、年月日まで正確に書く必要があります。「平成27年5月吉日」などと日付が特定できないものでは、遺言は無効となります。また、日付は遺言を完成させた日を正確に書く必要があります。日付は、遺言をした時点の遺言者に遺言能力があったこと、遺言の撤回の有無、効力を判断するために重要な意味を持ちますので、実際の日付と違うものは無効になります。

 

③氏名は、通称名やペンネームでも構いませんが、遺言者本人が書いたことが分かるように自書でなければなりません。字がうまく書けない遺言者のために、他人が手を支えて筆記を助けることは許されますが、代書することはできません。

 

④印は、認印でも構いません。

 

⑤遺言の本文の記載を間違えた場合は、民法に定める方法で訂正しなければなりません。具体的には、元の記載内容が分かるように訂正あるいは変更をして該当場所に押印し、欄外に訂正をしたことを付記して署名する必要があります。

 後で訂正の効力が争われないためにも、訂正が必要となった場合は書き直したほうがよいでしょう。

 

⇒弁護士好川久治の相続問題に関する情報はこちら

 

⇒港区虎ノ門の弁護士好川久治への相談・問い合わせはこちら

 

ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
℡03-3501-8822|9:30~18:00
東京都港区虎ノ門1丁目4番5号 文芸ビル8階

メールでのお問い合わせはこちらから tel:03-3501-8822
初回相談30分無料 tel:03-3501-8822
弁護士好川のシェアしたくなる話
Q&A
実際の解決事例
あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
あんしん相続相談ガイドに掲載されました。