2014.11.01更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 これまで多数の倒産事件を扱ってきましたが、弁護士として一番辛いのは、未だ営業中の会社が倒産手続を申し立てる場合です。この場合、決まってその日の業務終了後に従業員を一斉に集めて会社の倒産を伝え、従業員に解雇を言い渡します。事前に倒産を察して、心づもりをしている場合は未だよいですが、突然倒産を知って従業員が混乱する姿を見るのは辛いです。
 そこで、従業員の立場になって、会社が倒産したときに考えるべきポイントを整理してみました。

 

 倒産には、破産や特別清算、事実上の廃業などのように、会社が清算して消滅してしまう場合と、民事再生や会社更生のように、会社をリストラクチャリングして再建を目指す場合の二種類あります。いずれの場合も、従業員が解雇される場合がほとんどですから、解雇された後のことを考える必要があります。

 

 まず、会社から離職票をもらってハローワークで求職を申し込み、新しい就業先を見つけることが最初に取るべき行動です。転職先が直ぐに見つからなければ失業給付を受けます。会社の倒産の場合の失業は、会社都合による解雇ですから、7日の待機期間を経て、離職票を提出してから凡そ1ヶ月で1度目の失業給付を受けられます。

 

 勤務先に未払給与や退職金がある場合は、労働者健康福祉機構の立替払制度を利用することを考えます。年齢によって限度額が決められていますが、制度を利用すれば未払い給与と退職金の8割が機構から立替払いされます。当面の生活資金の目安を得るためにも早めに労基署に相談して給付のための手続をとりましょう。

 なお、給付を申請するには、倒産した会社から賃金の証明をもらう必要がありますので、倒産した会社とも連絡をとれるようにしておく必要があります。また、事実上の倒産の場合は、申請は中小企業に限られ、労働基準監督署長の倒産認定を受けなければなりませんので並行して手続をとります。

 

 立替払いの対象から漏れた給与等については、破産等の手続のなかで換価された財産から配当を受けることになります。ただ、破産とその他の倒産とで配当の順位が変わる部分が生じ、破産のなかでも未払となっている給与の対象期間によって、更に配当の順位が変わりますので、自分の持っている給与等の債権が配当を受けられるものかどうかを破産管財人や清算人に問い合わせてください。

 

 また、即時解雇された場合は、30日分以上の平均給与に相当する解雇予告手当を請求できます。予告期間が短くなれば短くなった分の解雇予告手当を請求できます。

 

 社内預金や預け金がある場合は、賃金の支払の確保等に関する法律3条による保全措置が取られているのが通常ですので、まずはその保全措置を通じて支払いを受け、回収できなかったものは、他の一般債権者と同じ順位で会社の残余財産から配当を受けることになります(会社更生の場合は、社内預金や預け金は、一定の限度で他の一般債権よりも優先的に取り扱われますので、回収の可能性は多少高くなります)。

 

 会社を通じて加入する財形貯蓄や外部積立の企業年金、退職金などは会社が倒産しても保全されますので、直接外部の積立機関(銀行、信託銀行、保険会社等)に請求して支払を受けるか、新しい会社に制度自体を引き継ぐことになります。

 

 いずれにしても会社に対して権利を有する場合には、各手続で定められる債権届を忘れないようにしてください。社員だから会社が把握してくれているはずだと思っていたら、配当に与れなかったということもありますので注意してください。

 

 なお、再建型の倒産で解雇にならない場合でも、会社は聖域なくリストラをしてきますので、再建のために、減給や退職金の減額、配置換えなど不安定な立場に置かれることになります。その場合でも、社員としての権利を不当に奪われないよう、組合や労働基準監督署、専門家に相談するようにしてください。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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