2014.10.28更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。 


 自殺など一般に嫌悪すべき歴史的背景は、賃貸借契約を締結するかどうかの借主の判断に重大な影響を及ぼす事項ですので、家主は契約にあたり、物件を借りようとする者に対して自殺などの事故情報を告知する義務があります。

 

 いつまで告知義務を負うかは判断が分れるところですが、自殺などによる嫌悪感は時の経過とともに薄れていくものですし、事故後他の借主が居住した事実があれば心理的な嫌悪感もかなり薄れますので、期間にして2~3年程度、但し、事故後最初の借主に告知すればその後の借主には告知義務はない、と考えておけばよいのではないかと思います。もちろん、これは形式的に短期間だけ貸したことにして告知義務を回避するようなことがないことが前提です。

 

 ところで、事故物件であることを告知せずに物件を賃貸し、後で事故物件であることが発覚すると、借主から家賃の大幅な減額を要求されたり、契約を解除されたりする可能性があります。

 

 契約を解除されると転居費用、契約時の礼金、仲介手数料、保証会社の保証料、損害保険料などの損害の賠償を求められることがあります。また、家賃の減額を要求された場合には、相場の半値程度まで引き下げることを覚悟しなければなりません。

 

 被った損害は、自殺をした借主の相続人や保証人に請求していくか、賃貸オーナーが加入する任意の共済等で補償を受けるしかありません。

 

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℡03-3501-8822|9:30~18:00

東京都港区虎ノ門1丁目4番5号 文芸ビル8階

2014.10.27更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。 

 

 昼時に歩道を歩いていると、前を歩いていたサラリーマン風の男性が歩きタバコをしていました。タバコを持った左手を前後に大きく振って同僚と談笑していましたが、歩道には親子連れや自転車に乗って通り過ぎる人もいて、とても危険を感じました。

 

 過去に、モデルが歩きタバコの火で足に火傷を負ったとブログで非難している記事がありましたが、喫煙者のマナーが気になります。

 

 最近では、路上での喫煙に対し、過料の制裁を課す自治体の条例が制定されるようになり、喫煙場所も整備され、歩きタバコはかなり減っているように思います。しかし、周りの警戒心が低くなる分、まれに危険な歩きタバコしている人がいると事故につながってしまわないか心配です。

 

 仮にタバコの火で人に怪我をさせれば、刑事的には過失傷害罪(刑法209条)や重過失傷害罪(刑法211条後段)に問われます。危険を承知で人ごみをタバコを持った手を大きく振って歩くような悪質な行為ですと、傷害罪(刑法204条)に問われる可能性もあるでしょう。

 

 また、民事的でも、被害者に対しては、不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)を負います。火傷による治療費や通院交通費のほか、仕事を休んだことによる休業損害、慰謝料などを請求されることになります。

 

 モデルが火傷をした例では、長期の休業を余儀なくされる損害は無視できません。仮に、タバコの火が子どもの目に当たって失明や視力減退等の後遺障害が残れば、数千万円に上る損害賠償責任を負担しなければなりません。

 

 最近は、タバコに限らず、歩きスマホをする人のマナーも問題となっています。ちょっとした不注意が重大事故につながるかもしれませんので、自戒を込めて注意したいものです。

 

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2014.10.26更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 平成19年12月、当時91歳であった認知症の高齢者(男性)が、家族が目を離したすきに自宅を出て徘徊し、電車に轢かれて死亡するという事故がありました。この件をめぐり、JR東海が男性の家族に対し、事故でかかった振替輸送費や人件費等の損害賠償を求めた事件で、名古屋高裁は、平成26年4月24日、当時85歳であった男性の妻に対し、約360万円の損害賠償金の支払を命じました。1審の名古屋地裁は、男性の妻だけでなく、長男の責任も認め、約720万円の支払を命じましたが、控訴審では、離れて住む長男の責任は否定し、妻のみの責任を認めました。

 

 本件事件に限らず、車や人と列車との接触や衝突、飛び込みなど人身事故が発生すると、列車を運行する鉄道会社に多大な損害が発生します。例えば、代替交通機関から請求される振替輸送費、深夜の事故であれば乗客の宿泊代、事故の対応にあたる社員の人件費(超過勤務・休日出勤に係る各種手当や宿泊代など)、乗車券や特急券の払戻し・キャンセル料、怪我をした乗客への見舞金、脱線事故を起こした車両や線路、関連機器の修理費など広範囲に及びます。そして、その額は、数千万円から1億円に達することもあると言います。

 

 乗客や鉄道会社に生じた損害は、人身事故を起こした本人が生きていれば本人が、本人が亡くなっていれば遺族が賠償責任を負わなければなりません(民法709条)。また、本人が生きている場合でも、年少者や認知症等で責任能力がなければ、監督者である親や家族が責任を追及されることがあります(民法714条)。

 

 本件も認知症高齢者の徘徊が問題となった事件ですが、高齢化社会が確実に進展するなか、他人事では済まされない深刻な問題です。認知症の高齢者を介護する家族や介護業者などは、それはあんまりだ、というのが正直な気持ちでしょう。

 

 他方、鉄道会社にとっても、人や車と列車との接触事故、人身事故が跡を絶たず、社会的使命を負う鉄道会社とはいえ、その全てを自社のリスクとして抱えるには損害があまりにも大きすぎます。保険による対応はもちろん必要ですが、一企業に任せるだけでなく、社会全体が負担するリスクとして、国が総合的で有効な高齢者の徘徊対策を考えなければならない時期が来ています。そうでなければ、これからも悲劇は繰り返されるでしょう。

 

 

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2014.10.23更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 平成26年10月1日、東京都国分寺市の認可保育所近くの路上で、園児を迎えに来た保護者に手斧を見せ、地面に数回振り下ろすなどして脅迫したとして、近所の無職の男(43)が暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されました。男は犯行の前日、市の保育課に電話をかけ、「園児の声がうるさい」、「帰り道に近所のアパートに入り込んでいた」、「対応しないなら、園児の首を切るぞ」などと職員を脅したといいます。

 

 騒音問題は、保育園に限らず、マンション、工場、商業施設などと近隣住民とのトラブルの原因として古くから問題となってきました。過去に、住人がピアノの音がうるさいとして階下の住人3名を殺害した事件もありました。

 

 音の問題は、聞く人の感受性や置かれた状況、音を出す人との関係等によって感じ方が異なります。音を発する側にとっては日常生活の一つでも、聞く方にとっては堪えられないと感じることがあります。

 

 法的には、社会生活上お互いに我慢すべきところは我慢すべきであるという考えのもと、ここまでは我慢すべきだという限界を「受忍限度」と言って、違法かどうかの判断基準とする考え方が一般的です。

 

 例えば、マンションの住人が、日常生活のなかで避けることができない音を出すことはやむを得ないこととしてお互いに我慢しなければなりません。
 子供がいれば多少ドタバタすることもありますし、生活をしていれば床に物を落としたり、扉を開閉したり、椅子を引いたり、洗濯機をまわしたり、掃除機をかけたり、お風呂に入ったりすることもあります。これらは生活に欠かせないことですから、これらによって発する音は、普通はお互い様として我慢しなければならないことが多いでしょう。


 他方、早朝や深夜に頻繁に子供が走り回って騒ぎ立てたり、長時間にわたりステレオを大音量でかけたりするようなことは、共同生活を送る他の住人への配慮に欠ける行為として、社会通念上も我慢の限界を超える違法な行為となるでしょう。

 

 この場合、被害を受けた側は、音を出す側に対し、慰謝料等の損害賠償請求や、音の発生原因(フローリング等)の撤去、防音仕様への変更などを要求することができます。

 

 しかし、音の問題は、裁判まで争うほどこじれると、お互いの感情がぶつかり合い、引くに引けない状態となって消耗戦を強いられ、結局は、いずれかが転居するしか解決方法がなくなってしまいます。

 

 そのため、騒音問題は、紛争になる前の予防策が何よりも重要な問題と言えます。コミュニティのなかで、日頃からコミュニケーションを欠かさないこと、生活空間を共有する者が互いに相手の生活を尊重し気遣う意識を持つこと、問題となりそうなときは事前に声を掛け合い、あるいは気軽に注意し合える関係を築く努力を怠らないこと、問題が起こりそうなときにコミュニティ内で自主的に解決できるような自治会、組合などの仕組みを協力して維持していくこと、このようなことが大切になってくると思います。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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