2015.07.21更新

女性雑誌の取材を受けた 

 

 先日、女性雑誌の取材で、「ハラスメントと闘う女性たち」について話を聴かれました。武井咲主演のドラマ「エイジハラスメント」が始まったことや、最近女性に対するマタニティハラスメント(妊娠・出産、育児休業等を理由とする解雇、不利益な異動、減給、降格などの不利益な取扱い)が問題視されていることなどが背景にあると見られます。

 

30以上の「ハラスメント」があるなんて!

  

 「ハラスメント」は、人間と人間の人格のぶつかり合いのなかで起こる人権侵害行為です。夫婦間や交際する男女間でのDVや、友人同士・同僚間での嫌がらせ・いじめをはじめ、職場、医療現場、大学、地域社会などで力関係を背景として、強い立場の者が弱い立場の者に対して度を越した嫌がらせを行うことを総称したものです。

 

 取材のなかで、30以上のハラスメントがあると聞いて驚きました。

 言葉が一人歩きして何でもかんでも「ハラスメント」だとして問題にするのもどうかと思いますが、言葉が生まれることで、ハラスメントの存在を身近に感じ、世間の認知も広まることで、改めてハラスメントの問題点と被害者救済、再発防止などを考える機会になれば、ハラスメントで苦しんでいる人たちの人権救済につながると思います。

 

 2014年の統計で、過労や職場でのハラスメントでうつ病などの精神疾患に罹患し、労災認定された人が497名に上ったそうです。これは前年対比で約14%増です。実際に被害事例が増えているのかもしれませんが、最近急速に「ハラスメント」という言葉が広まったことで、被害が認知されやすくなり、被害者も自ら名乗り出やすくなった、という側面もあると思います。

 

ハラスメントは早期解決が大切

 

  ハラスメントは、被害が発生すると早期解決が大切です。放置すると加害者による行動がエスカレートする可能性がありますし、何よりも被害を受けている人が精神的に疲労困憊し、改善や救済に向けた動きをとれなくなることが問題です。
 もちろん、被害者の救済のためにはハラスメントに理解を示す協力者の存在が重要です。友人や家族、会社の通報窓口、労働組合、労働局、弁護士会などの相談機関を利用することも躊躇するべきではありません。

 

 職場の理解がない、組織が被害救済に消極的、再発防止が徹底しないような場合には、退職をも念頭に、法的措置をとらざるをえないこともあるでしょう。しかし、その前に、まずは手を尽くして組織に対し、被害救済とハラスメントの原因の除去、関係者の処分や異動、再発防止の徹底などを求めていくのが先でしょう。

 

ハラスメントはリスクマネジメントの問題でもある

 

 ハラスメントは、被害が発生する度に問題を解決していくだけでは抜本的な予防策にはなりません。ハラスメントが起こりやすい職場環境を是正していかなければ、第二、第三の被害が発生してしまいます。ハラスメントが組織全体の問題であることを再確認したうえ、組織の取り組みの改善、ハラスメントを許さないという組織の強い意識と行動、人権教育、ハラスメントの早期発見と被害救済、関係者の処分、再発防止策の策定と再教育など、全体的な対策が必要です。
 ハラスメントの問題が、人権侵害の問題であるとともに、組織におけるマネジメントの問題であると言われるゆえんです。

 

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2015.07.06更新

新幹線の車内で焼身自殺!

 

 先日、東海道新幹線の車内で71歳の男性が焼身自殺をした事件が報道されていました。電車内でガソリンらしき油を体に浴びて火をつけるという前代未聞の事件に、日常生活のなにげない場所に人々の安全を脅かす危険が潜んでいることを改めて実感させられました。


 この事件で、容疑者の男性が死亡したほか、乗客の女性1人が煙にまかれて死亡、その他30名近くの乗客が重軽傷を負ったようです。東海道線は多数の列車が運休し、多数の乗客に影響を与えたようです。警察は現住建造物等放火と殺人の容疑で捜査をしていますが、容疑者は既に死亡していますので、いずれ容疑者死亡のまま送検され、不起訴になる見込みです。

 

JR東海に多大な損害が発生


 JR東海は、けが人の救助や列車運行の安全性の確保、警察の捜査への協力等のために列車の運行を停止せざるをえません。そのため、乗客への影響は避けられず、代替交通機関の手配による損害(振替輸送費)、事故の対応にあたる社員の人件費(超過勤務・休日出勤に係る各種手当・宿泊代など)、乗車券や特急券の払戻し・キャンセル料、怪我をした乗客への見舞金、焼損した車両、関連機器の修理費など広範囲で多額の損害を被ったと推測されます。

 

 JR東海は、列車の安全な運行について最大限の配慮を求められますが、利用客が1日あたり数十万人という現実のもと、飛行機のように全ての乗降客のセキュリティチェックを実施することは現実的ではないでしょう。そうすると、今回の事件をめぐって、、JR東海が乗客に対する安全配慮義務違反の責任を問われることは考えにくいです。

 

泣き寝入りになることも!

 

 では、JR東海は、いったい誰に損害の補償を求めていけばよいのでしょうか。

 

 まず思いつくのは容疑者の遺族です。遺族は相続により容疑者の権利義務を承継しますので、遺族が相続を承認すれば遺族に対して損賠賠償を請求していくことが可能です。しかし、普通に考えれば、多額の賠償義務を背負いきれない遺族は相続を放棄することになるでしょう。

 

 仮に容疑者が精神疾患で事件に対する責任能力がない状況であった場合は、容疑者を法的に監督すべき責任がある者(身内、施設の責任者など)が固有に責任を負うことがあります。しかし、この場合も、億を超えると予想されるJR東海の損害を賠償できるだけの能力があるとは思えません。


 JR東海にしてみれば踏んだり蹴ったりですが、今回の事件を教訓に、事件の発生の経緯と発生後の対処方法について綿密な検証をしたうえで、今後の同種犯罪の防止のためにどのようなことができるのかを考えて、損害の発生ないし拡大のリスクを最小限に抑えるための対策を考えていくしかないでしょう。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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