2014.11.21更新

スキーシーズンが到来!

 

 ここ数年、冬になればスキーに出かけます。ゴンドラで山の頂上に登ったときに見える雪に覆われた雄大な山々の景色は最高です。気分も爽快で、一気に山を滑り降りると何とも言えない満足感を得られます。

 

 ところが、気を許してしまうと、スキー板は遥か彼方へ…。そのとき思うのは、自分一人でよかった、人に怪我をさせなくてよかった、という反省の気持ちです。昨年の暮れには、元F1ドライバーのミハエル・シューマッハがゲレンデで転倒して頭部を強打し、意識不明の重体になった事故があり、他人事ではないと感じます。

 

遊びやスポーツとはいえ怪我をさせれば責任が発生する!

 

 スキーシーズンが到来すると、スキー場での事故の相談を受けることがあります。スキーやスノボーは娯楽やスポーツですから、お互い危険を承知で楽しんでいるのだから怪我をしてもお互い様だと軽く考えている人もいると思います。

 しかし、簡単な事故ならともかく、骨折や失明、脳挫傷で意識不明、死亡などの重大事故になれば、そうも言っていられません。

 

 先例でも、スポーツだからという理由で免責を認めるケースは殆どなく、「スキー場において上方から滑降する者は、前方を注視し、下方を滑降している者の動静に注意して、その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負う」として、怪我をさせた加害者に損害賠償責任を認めています。

 

 打撲や足首捻挫程度の軽傷なら10万~20万円程度で済みますが、骨折でもさせれば入通院の治療費、通院費、休業損害、慰謝料などで簡単に100万円を超えます。また、しびれや痛みなどの簡単な後遺障害が残っただけで300~400万円、手足に機能障害が残れば1000万円を超えてしまいます。さらに、遷延性意識障害や死亡事故に至れば1億円を超えることもありえます。

 また、加害者は、重過失致死傷罪として立件され、罰則を受けることもあります。

 

 予想外の事故に対しても適切な対応を!

 

 事故を起こしてしまった場合は、被害者の安全な場所への退避と救護、スキー場管理者への連絡、救急車の要請、警察への連絡など必要な措置をとり、被害者には謝罪と定期的な見舞いを尽くしていくべきです。
 また、補償の問題にも対応できるよう個人賠償責任保険への加入も忘れないようにしたいものです。

 

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2014.11.17更新

飼い犬の咬みつき事故ってこんなに発生しているの!

 

 最近、大量のペットが公園等に捨てられているというニュースを見ました。ペットブームで犬を飼う家庭が多くなったことが背景にあるようですが、物を捨てるように扱われる犬が気の毒です。他方で、犬が加害者となる咬傷事故も毎年かなりの数発生しています。件数自体は年々減ってはいますが、それでも全国で毎年4000件以上の事故が認知され、数件ですが、死亡事故も発生しています。

 

 咬傷事故の原因はさまざまです。放し飼いをしていた、リードを離してしまった、子供に大型犬の散歩をさせていた、など飼主のちょっとした不注意が事故の原因となっています。 

 

飼い主には重い責任が! 

 

 そこで、愛犬が人を咬んでしまった場合の飼主の責任について考えてみました。飼犬が人に怪我をさせた場合、民事、刑事の両面で責任が発生します。

  

 まず、刑事上の責任では、不注意で人に怪我をさせてしまったことについて、飼主は、重(過失)致死傷罪(刑法209条、210条、211条後段)に問われます。

 死亡事故や重傷事故でもなければ、被害届も出されず当事者間で解決され、警察が動くこともあまりないでしょうが、飼主の責任としては無視できません。

 

 次に、民事上の責任では、飼主には、動物占有者として損害賠償責任を負います(民法718条)。動物はコントロールがきかないと危険物となりますので、飼主には動物の種類及び性質に従って相当の注意をもって飼育管理する責任があるとされています。

 

賠償責任は1千万円を超えることも!

 

 飼犬が人に怪我をさせた場合の損害賠償の内容について、シミュレートすると次のようになります。
 

【怪我の内容】

 被害者は30歳の兼業主婦。犬に咬まれて転倒し、右上腕骨骨折、左前腕犬咬傷、臀部打撲で全治3ヵ月。事故後2週間入院し、退院後も4ヵ月間の通院を必要とした。完治した後も、右腕が思い通りに動かないという後遺障害が残った。

 

【損害の概算】
<治療費> 約100万円、
<休業損害> 約70万円(入院期間は100%、通院期間は50%の就労不能)
<入通院慰謝料> 約110万円
<後遺障害慰謝料> 約290万円(1上肢1関節の機能障害12級)
<逸失利益>   約800万円
<交通費>    約5万円
<物損>     約5万円
<入院雑費>   約2万1000円 (2週間)       
    合計)   約1382万1000円

 

 ちょっとした不注意が招いた事故であっても、責任は一瞬で数千万円に達することがあります。飼主は、十分注意するとともに、万一人に怪我を負わせた場合に備えて個人賠償責任保険に加入しておきたいものです。

 

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2014.11.07更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 昨年、美白化粧品を使用した消費者が顔や首筋などに瘢痕ができたとして世間を騒がせました。被害者の数は、2万人近くにのぼるそうです。現在もなお、被害者とメーカーとの補償問題が未解決で、裁判になっている事案もあります。化粧品に限らず、脱毛エステや美顔器の使用でやけどをしたという相談もあります。

 

 被害を受けた消費者は、化粧品や美顔器の販売店や施術をしたエステサロンに対しては契約に基づき、美顔器や化粧品のメーカーに対しては不法行為(民法709条)又は製造物責任法(PL法)に基づき損害賠償責任を追及していくことになるのが一般的です。


 損害の中身は、治療費、通院のための交通費、療養治療のための休業補償(有給取得分も補償されます)のほか、入通院に伴う慰謝料、後遺障害等級に応じた慰謝料、将来の逸失利益(失われた利益)などになります。

 

 慰謝料は、入通院期間、通院の頻度に応じて、例えば1ヶ月通院した場合は16万円~29万円の金額を請求していきます。顔や首筋など目に見える箇所の火傷や色素脱失などの醜状痕が残った場合は「後遺障害」と認定されることがあり、障害の程度に応じて、例えば、顔なら10円銅貨の大きさ以上の、首なら鶏卵の大きさ以上の人目に付く瘢痕(傷跡)が永久に残った場合には、後遺障害等級12級に相当し、後遺障害慰謝料は250万円~300万円程度になります。

 

 安全だと思って商品を使用し、施術を受けた消費者にとってはやりきれない思いで一杯でしょう。せめて責任のある事業者やメーカーに対しては、しっかり補償を求めていきたいものです。

 

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2014.11.05更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 前回とは反対に、子供が喧嘩をして怪我をした場合の対処方法を考えてみます。

 

 何よりもまず、被害の発生状況、子供の関与の有無・程度について、子供、学校、友人からできるだけ早く、正確な情報を集めることです。時間が経てば隠ぺいや責任回避の動きが出てきますので、できればその日のうちに対処すべきです。

 学校内、学校の登下校中の怪我の場合は、学校に強く働きかけて当事者意識を持ってもらい、事実関係の調査をはじめ、事件解決に向けての主体的な関与と協力を求めることが大切です。必要があれば警察に被害届を出すことも考えなければなりません。

 

② 治療費はどうすればよいでしょうか。

(1)治療費は、健康保険を利用できますので当面の負担を減らすためにも健康保険を利用してください。喧嘩であれば被害児童にも落ち度のあるのが通常ですから、健康保険を受けるメリットは大きいです。

 

(2)学校内や登下校中の喧嘩の場合は、計画性がなければ、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度を利用できますので、申請の手続をしてください。

 

(3)ご自身で加入する傷害保険(共済)、傷害特約による保険金(共済金)の請求も忘れないでください。

 

(4)加害児童側が加入する個人賠償責任保険は、喧嘩の場合に免責になる可能性がありますが、念のために加害児童側を通じて保険会社に保険金が支払われるかどうかを確認してもらってください。

 

(5)以上の方法が奏功しないなら、加害児童の親に対し、当面の治療費だけでも内金として支払ってもらうよう交渉してください。

 

③ 示談交渉は、治療が全て終わってから本格的に始めます。加害児童の親との直接の交渉では話が進まないこともありますので、学校に間に入ってもらうことを考えてください。特に、学校が加害児童の指導の責任を問われるようなケースでは、学校自身の問題として介入を強く申し入れるべきでしょう。

 

④ 話し合いが行き詰ったときは、弁護士に依頼をして示談交渉を進めるのが効果的です。このほか、弁護士会の紛争解決センターの示談あっせん、簡易裁判所の民事調停などの制度を利用することも検討してよいでしょう。

 

⑤ 話し合いによる解決が困難であれば、裁判に訴えるしかありません。この場合でも、審理の過程で早期に和解で解決できることもありますので、ここぞというときには躊躇せず利用を考えたほうがよいでしょう。

 

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2014.11.03更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 前回の続きですが、仮に、友達に怪我をさせてしまった場合はどうすればよいでしょうか?


① 子供が友達に怪我をさせてしまった場合は、とにかく直ぐに謝罪と見舞いに訪れ、最低限の誠意を示すことです。時間が経てば経つほど、被害感情は高まり、紛争解決にとってマイナスですから、できればその日のうちに訪問してください。事情があって時間がない場合でも電話一本くらいは入れてください。一旦被害者から不信感を持たれてしまうと、その後の紛争解決に悪影響を与えることになりますので注意が必要です。被害者は加害者が考えている以上に、加害者の一つ一つの対応に敏感で、常識的な態度や誠意ある対応を求めます。

 

② 次に、被害発生状況について、子供、学校、友人、可能であれば被害児童側からも情報を集め、学校など関係者とも密に連絡をとって事実関係の早期把握に努めてください。

 

③ ご自身で加入する個人賠償責任保険の適用がないかどうかを確認し、同時に、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度の利用手続を調べて被害児童側に情報提供することも忘れないでください。法的な責任の有無や程度は、事実関係が明らかになった時点で専門家に相談して考えればよいことですから、被害者側にも落ち度があるからといって放置しないでください。

 

④ その後も、被害児童の親には、定期的に連絡をとり、必要に応じて見舞いと謝罪を続けたほうがよいでしょう。

 

⑤ 被害者側から治療費等の請求があった場合には、被害発生状況を把握したうえで、その都度弁護士のアドバイス、保険(共済)の担当者と協議しながら、対応してください。
 治療途中に一時金を支払っても、治療が終わった後の示談の段階で「既払金」として精算すればよいですので、明らかに支払超過の疑いがある場合を除き、柔軟に対応したほうがよいでしょう。
 なお、支払の際は、領収書をもらい、あるいは銀行送金等により記録が残るようにしてください。また、保険(共済)利用の場合は、保険会社(共済)にも事前に連絡をして支払の了解をとるようにしてください。

 

⑥ 誓約書などの提出を求められた場合でも、事実関係がはっきりして最終的な責任の所在と割合が決まるまでは応じないほうがよいでしょう。
 被害の補償については、誠意をもって対応させていただきます、と言って一旦持ち帰り、弁護士とも相談するようにしてください。

 

⑦ 事件解決までは、被害者といつでもコミュニケーションをとれる関係を保つことが大切です。関係が決裂してしまえば、あとは裁判等で白黒つけざるを得なくなりますので、お互いにとって負担です。

 

⑧ 問題解決を人任せにはしないことが大切です。学校、保険会社の担当者等に協力を仰ぐことは必要ですが、とにかく自分で動くことが、被害児童の親との信頼関係を維持し続けるためにも必要です。事故後の対応の悪さにより、被害者に二次被害を与え、紛争が泥沼化してしまうと不幸です。
 子供同士の喧嘩だからと言って侮らず、特に相手が怪我をした場合は、被害児童へ配慮しながら、円満な解決に向けて双方が努力することが必要です。

 

 次回は、喧嘩をして被害者の立場からの対処方法について考えたみたいと思います。

 

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2014.11.02更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 最近、小学校や中学校で、友達同士で喧嘩をして怪我をしたり、反対に相手に怪我をさせてしまったり、という相談をよく受けます。

 直ぐに治る怪我なら、大事にせずとも当人同士、あるいは学校が間に入って親御さんらで謝罪をして解決することが多いのですが、被害児童が骨折をしたとか、歯を折ってしまったとか、頭を打って入院をしたとか、結果が重大な場合は、タダでは済みません。

 そこで、子供が学校で喧嘩をして怪我をし、あるいは怪我をさせてしまったときの問題について考えてみたいと思います。

 

 子供は、小学校を卒業するかしないかの年齢までは、法的に責任能力がないとされます。したがって、人に怪我をさせても損害賠償責任を負いません(民法712条)。自分の行為が法的に責任を問われることを理解するだけの能力がないとされるからです。この場合、法定の監督義務者である親が子供に代わって責任を負わなければなりません(民法714条1項本文)。

 

 親は、子供に対する必要な監督を怠らなかったこと、あるいは監督を尽くしても被害の発生を避けられなかったことを証明しなければ責任を免れません(民法714条1項但書)。しかし、これがそんなに簡単なことではありません。
 単に、日頃から子供に、「人に迷惑をかけてはいけない」、「他人に暴力をふるってはいけない」、「お友達をいじめてはいけない」などと言い聞かせていただけでは監督義務を果たしたことにはならないからです。

 

 これに対し、中学生にもなると、子供自身に責任能力が認められるようになりますので、他人に怪我を負わせたら子供自身が損害賠償責任を負わなければなりません(民法709条)。
 もちろん、親も子供を監督し、教育すべき義務を負いますので、日頃から子供がよく喧嘩をする、粗暴な行動をとる、などで問題を起こしていたのに放置していれば、親自身が被害児童に直接損害を賠償しなければなりません(民法709条)。

 

 例えば、以下のような事例で親の責任が問題となっています。
(親の責任を認めた事例)
 中学生同士のいじめや暴力で怪我を負った事件で、親が加害児童の日頃の喫煙、ピアスの着用、粗暴な行為、不良グループの結成等の問題行動を放置し、あるいは気づいていなかったことに監督義務違反を認め、400万円の損害賠償責任を認めた事例(さいたま地裁平成15年6月27日判決)。
(親の責任を否定した事例)
 中学校の教室で、カーテンフックを直そうと机上に椅子を置き足場として作業中の女子児童が、男子児童から椅子を足蹴りされたため転落死した事故で、加害児童がおとなしく真面目であったこと、事故前に他人に暴力を振るったり、暴力を振るうかのような言動があったとは認められないこと、親が加害児童の問題性に気づかず、これを放置した事情も見当たらないとして親の責任を否定した事例(富山地裁判決平成14年11月27日)。

 

 ただ、仮に親の責任が否定される場合でも、わが子に責任を負わせたまま被害児童の救済に目を向けない親もいないでしょうから、被害児童の親から補償を求められたら、親が子供に代わって損害を補償していくことになるのが通常です。

 

 ちょっとした喧嘩でも、被害が重篤であれば、損害は数百万円、数千万円に達します。怪我による損害は、個人賠償責任保険が適用されないことも多いですので、親としても他人事では済みません。

 子供同士のしたことだから仕方がないとか、被害児童にも非があったとか、学校にも責任があったとか、いろいろ言いたいことがあるでしょうが、まずは被害を受けた児童が苦しんでいる現実を直視して、どうやって問題を解決していけばよいかと考えていくことが大切です。

 

 次回は、友達に怪我をさせてしまった場合にどう対応すればよいかを考えてみたいと思います。

 

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2014.10.28更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。 


 自殺など一般に嫌悪すべき歴史的背景は、賃貸借契約を締結するかどうかの借主の判断に重大な影響を及ぼす事項ですので、家主は契約にあたり、物件を借りようとする者に対して自殺などの事故情報を告知する義務があります。

 

 いつまで告知義務を負うかは判断が分れるところですが、自殺などによる嫌悪感は時の経過とともに薄れていくものですし、事故後他の借主が居住した事実があれば心理的な嫌悪感もかなり薄れますので、期間にして2~3年程度、但し、事故後最初の借主に告知すればその後の借主には告知義務はない、と考えておけばよいのではないかと思います。もちろん、これは形式的に短期間だけ貸したことにして告知義務を回避するようなことがないことが前提です。

 

 ところで、事故物件であることを告知せずに物件を賃貸し、後で事故物件であることが発覚すると、借主から家賃の大幅な減額を要求されたり、契約を解除されたりする可能性があります。

 

 契約を解除されると転居費用、契約時の礼金、仲介手数料、保証会社の保証料、損害保険料などの損害の賠償を求められることがあります。また、家賃の減額を要求された場合には、相場の半値程度まで引き下げることを覚悟しなければなりません。

 

 被った損害は、自殺をした借主の相続人や保証人に請求していくか、賃貸オーナーが加入する任意の共済等で補償を受けるしかありません。

 

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2014.10.27更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。 

 

 昼時に歩道を歩いていると、前を歩いていたサラリーマン風の男性が歩きタバコをしていました。タバコを持った左手を前後に大きく振って同僚と談笑していましたが、歩道には親子連れや自転車に乗って通り過ぎる人もいて、とても危険を感じました。

 

 過去に、モデルが歩きタバコの火で足に火傷を負ったとブログで非難している記事がありましたが、喫煙者のマナーが気になります。

 

 最近では、路上での喫煙に対し、過料の制裁を課す自治体の条例が制定されるようになり、喫煙場所も整備され、歩きタバコはかなり減っているように思います。しかし、周りの警戒心が低くなる分、まれに危険な歩きタバコしている人がいると事故につながってしまわないか心配です。

 

 仮にタバコの火で人に怪我をさせれば、刑事的には過失傷害罪(刑法209条)や重過失傷害罪(刑法211条後段)に問われます。危険を承知で人ごみをタバコを持った手を大きく振って歩くような悪質な行為ですと、傷害罪(刑法204条)に問われる可能性もあるでしょう。

 

 また、民事的でも、被害者に対しては、不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)を負います。火傷による治療費や通院交通費のほか、仕事を休んだことによる休業損害、慰謝料などを請求されることになります。

 

 モデルが火傷をした例では、長期の休業を余儀なくされる損害は無視できません。仮に、タバコの火が子どもの目に当たって失明や視力減退等の後遺障害が残れば、数千万円に上る損害賠償責任を負担しなければなりません。

 

 最近は、タバコに限らず、歩きスマホをする人のマナーも問題となっています。ちょっとした不注意が重大事故につながるかもしれませんので、自戒を込めて注意したいものです。

 

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2014.10.26更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 平成19年12月、当時91歳であった認知症の高齢者(男性)が、家族が目を離したすきに自宅を出て徘徊し、電車に轢かれて死亡するという事故がありました。この件をめぐり、JR東海が男性の家族に対し、事故でかかった振替輸送費や人件費等の損害賠償を求めた事件で、名古屋高裁は、平成26年4月24日、当時85歳であった男性の妻に対し、約360万円の損害賠償金の支払を命じました。1審の名古屋地裁は、男性の妻だけでなく、長男の責任も認め、約720万円の支払を命じましたが、控訴審では、離れて住む長男の責任は否定し、妻のみの責任を認めました。

 

 本件事件に限らず、車や人と列車との接触や衝突、飛び込みなど人身事故が発生すると、列車を運行する鉄道会社に多大な損害が発生します。例えば、代替交通機関から請求される振替輸送費、深夜の事故であれば乗客の宿泊代、事故の対応にあたる社員の人件費(超過勤務・休日出勤に係る各種手当や宿泊代など)、乗車券や特急券の払戻し・キャンセル料、怪我をした乗客への見舞金、脱線事故を起こした車両や線路、関連機器の修理費など広範囲に及びます。そして、その額は、数千万円から1億円に達することもあると言います。

 

 乗客や鉄道会社に生じた損害は、人身事故を起こした本人が生きていれば本人が、本人が亡くなっていれば遺族が賠償責任を負わなければなりません(民法709条)。また、本人が生きている場合でも、年少者や認知症等で責任能力がなければ、監督者である親や家族が責任を追及されることがあります(民法714条)。

 

 本件も認知症高齢者の徘徊が問題となった事件ですが、高齢化社会が確実に進展するなか、他人事では済まされない深刻な問題です。認知症の高齢者を介護する家族や介護業者などは、それはあんまりだ、というのが正直な気持ちでしょう。

 

 他方、鉄道会社にとっても、人や車と列車との接触事故、人身事故が跡を絶たず、社会的使命を負う鉄道会社とはいえ、その全てを自社のリスクとして抱えるには損害があまりにも大きすぎます。保険による対応はもちろん必要ですが、一企業に任せるだけでなく、社会全体が負担するリスクとして、国が総合的で有効な高齢者の徘徊対策を考えなければならない時期が来ています。そうでなければ、これからも悲劇は繰り返されるでしょう。

 

 

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2014.10.23更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 平成26年10月1日、東京都国分寺市の認可保育所近くの路上で、園児を迎えに来た保護者に手斧を見せ、地面に数回振り下ろすなどして脅迫したとして、近所の無職の男(43)が暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されました。男は犯行の前日、市の保育課に電話をかけ、「園児の声がうるさい」、「帰り道に近所のアパートに入り込んでいた」、「対応しないなら、園児の首を切るぞ」などと職員を脅したといいます。

 

 騒音問題は、保育園に限らず、マンション、工場、商業施設などと近隣住民とのトラブルの原因として古くから問題となってきました。過去に、住人がピアノの音がうるさいとして階下の住人3名を殺害した事件もありました。

 

 音の問題は、聞く人の感受性や置かれた状況、音を出す人との関係等によって感じ方が異なります。音を発する側にとっては日常生活の一つでも、聞く方にとっては堪えられないと感じることがあります。

 

 法的には、社会生活上お互いに我慢すべきところは我慢すべきであるという考えのもと、ここまでは我慢すべきだという限界を「受忍限度」と言って、違法かどうかの判断基準とする考え方が一般的です。

 

 例えば、マンションの住人が、日常生活のなかで避けることができない音を出すことはやむを得ないこととしてお互いに我慢しなければなりません。
 子供がいれば多少ドタバタすることもありますし、生活をしていれば床に物を落としたり、扉を開閉したり、椅子を引いたり、洗濯機をまわしたり、掃除機をかけたり、お風呂に入ったりすることもあります。これらは生活に欠かせないことですから、これらによって発する音は、普通はお互い様として我慢しなければならないことが多いでしょう。


 他方、早朝や深夜に頻繁に子供が走り回って騒ぎ立てたり、長時間にわたりステレオを大音量でかけたりするようなことは、共同生活を送る他の住人への配慮に欠ける行為として、社会通念上も我慢の限界を超える違法な行為となるでしょう。

 

 この場合、被害を受けた側は、音を出す側に対し、慰謝料等の損害賠償請求や、音の発生原因(フローリング等)の撤去、防音仕様への変更などを要求することができます。

 

 しかし、音の問題は、裁判まで争うほどこじれると、お互いの感情がぶつかり合い、引くに引けない状態となって消耗戦を強いられ、結局は、いずれかが転居するしか解決方法がなくなってしまいます。

 

 そのため、騒音問題は、紛争になる前の予防策が何よりも重要な問題と言えます。コミュニティのなかで、日頃からコミュニケーションを欠かさないこと、生活空間を共有する者が互いに相手の生活を尊重し気遣う意識を持つこと、問題となりそうなときは事前に声を掛け合い、あるいは気軽に注意し合える関係を築く努力を怠らないこと、問題が起こりそうなときにコミュニティ内で自主的に解決できるような自治会、組合などの仕組みを協力して維持していくこと、このようなことが大切になってくると思います。

 

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