2015.03.30更新

Q.父が亡くなり、遺産分割協議を進めています。父の遺産には投資用マンションがあり、毎月家賃が入ってきます。この家賃は父が亡くなった後に入ってきたお金ですが、どのように取り扱えばよいでしょうか。投資用マンションは、長男である私が相続する方向で話しが進んでいます。

 

A.遺産分割協議が成立するまでの家賃は相続人全員のもの!

 

 相続人間で合意があればそれに従いますが、合意がなければ、相続開始後、遺産分割協議が成立するまでの間の家賃は、各相続人が法定相続分に応じて分割取得することになりますので、各相続人が持分に応じて家賃を受け取り、その間の不動産収入として確定申告をすることになります。


 相続が開始しても、相続人間で遺産分割協議が成立するまでには、一定の期間を要します。この間、遺産であるマンションは相続人間の共有となります。

 しかし、遺産分割は、相続開始時点にさかのぼって効力が生じることになっていますので(民法909条)、遺産分割協議により質問者がマンションを取得することに決まれば、相続開始時点からマンションの所有者であったことになります。

 

 そうすると、相続開始後、遺産分割協議が成立するまでの間のマンションの家賃も所有者である質問者が取得することになるようにも見えますが、法律ではそのようになっていません。


 遺産分割協議が成立するまでのマンションは、未だ相続人間で共有していることになりますので、そこから発生した家賃はマンションとは別個独立の財産として、発生当時マンションを共有していた相続人がその法定相続分に応じて取得すると考えられています(最高裁平成17年9月8日判決)。

 

 したがって、各相続人は家賃を管理している者に対し、自己の持分相当の返還を要求することができます。

 また、その家賃は自己の不動産収入となりますので、各自で確定申告をしなければなりません。

 

マンションを取得する相続人が全額取得すると贈与税が課せられる可能性も!

 

 もちろん、相続人間合意により、家賃を全て質問者が取得するように取り決めることも可能です。

 しかし、この場合、他の相続人が、質問者よりも多くの遺産を相続する見返り、すなわち代償金として受け取る場合であれば問題ありませんが、単なる恩恵や便宜のために家賃を受け取ってしまうと、他の相続人から贈与があったとして贈与税が課税されるおそれがありますので、注意してください。

 

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2015.03.27更新

Q.父が亡くなり、母が喪主となり葬儀を済ませましたが、母が高齢のため長男である私が事実上全ての手配をしました。葬儀の際、香典を受け取り、父の勤務先からも100万円ほどお金が出ました。余ったお金はどのように扱えばよいでしょうか。


A.香典は喪主に与えられた贈与金

 

 香典は、死者に対する供養や遺族に対する慰謝のため、あるいは遺族が突然支出を迫られる葬儀費用の足しにするために葬儀の参列者等から渡される金品です。通常は葬儀の主催者である喪主に対する贈与と考えられています。

 

 したがって、喪主は香典を葬儀費用に充て、不足すれば故人の遺産から支出し、余れば喪主の固有の財産として故人の供養のための費用に充てるのが一般的でしょう。

 

弔慰金の取得者は勤務先の規程の定めで決まる!

 

 これに対し、故人の勤務先から渡される金品は、「死亡退職金」、「弔慰金」などと言われ、勤務先の規程によって、遺族に交付されることになっています。
これは遺産には属さず遺族の固有の財産とされ、誰が取得するのかも勤務先の規程で定められていることが多いです。

 

 規程もなく、恩恵的に与えられたものであるなら、勤務先がどのような趣旨で、誰に与えるつもりであったのかによって決まります。通常は同居していた妻や子の生活のために家計の主催者に渡す意思と考えてよいのではないかと思います。

 

 勤務先の規程に受取人の定めがない場合は、遺産に属するものとして相続人の遺産分割協議によって分配方法を取り決めることになるでしょう。

 

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2015.03.24更新

Q.先日母が亡くなりました。私の母は2年前に離婚しました。原因は父のDVです。母は父と一日も早く離婚したかったので離婚時に慰謝料も財産分与も請求しませんでした。私も父のことで苦労した母を見てきましたので、母に代わって父に慰謝料や財産分与を請求したいと考えています。可能でしょうか。母は再婚しておらず、子供は私一人です。

 

A.母の死亡後も離婚慰謝料、財産分与を請求できる

 

 慰謝料は請求できます。財産分与については争いはありますが、離婚してから2年経過前であれば請求可能と考えます。

 

 まず前提として、母が亡くなり相続が発生していますので、慰謝料や財産分与の請求権を唯一の相続人であるあなたが相続できるかが問題となります。相続が発生すると、亡くなった方の財産に関する一切の権利義務を承継することになりますが、亡くなった方の一身専属権は対象外とされているからです(民法896条)。


 この点、慰謝料請求権は、結局のところ金銭給付を求める権利ですから生前に請求の意思表示をしたかどうかにかかわらず相続の対象になるとされています。財産分与請求権については争いがありますが、こちらも財産分与が夫婦の協力によって得た財産の分与を目的とする権利ですから相続の対象になると考えてよいと思います。

 

離婚慰謝料の請求は離婚後3年以内に請求を!

 

 ところで、慰謝料は、他人の不法行為によって精神的損害を被った場合に加害者に対して請求できる損害賠償金です。母は父のDVが原因で離婚していますので、父のDVの存在とそれが離婚の原因となったことを証明できれば母の父に対する慰謝料請求権を相続により取得しますので、父に対して請求することが可能です。


 不法行為の時効は、損害及び加害者を知っていから3年です(民法724条)。DVは個々の行為から3年で時効が完成しますが、それが離婚の直接の原因になった場合は離婚による損害は離婚成立時に発生しますので、離婚から3年間は行使可能です。

 

財産分与は離婚後2年以内に請求を!

 

 財産分与請求権は、離婚の際に夫婦が協力によって築き上げた財産の分与を求める権利です。財産分与の対象は、現預金、有価証券、保険、財形貯蓄、退職金、住宅などのプラスの財産と、住宅ローン、生命保険借入金、生活資金の借入金などのマイナスの財産を合算して、プラスになった場合には、金銭給付を求めることができます。基準日は原則として別居時、請求できる割合は原則として半分です。


 財産がない場合でも、離婚後に経済的に扶養が必要となる一方が他方に対し、当面自活できるまでの扶養を目的として金銭給付を求めることも可能とされています。
 但し、扶養的側面の財産分与については相続の対象となるかどうかについて争いがあります。

 

 財産分与を求めることができるのは離婚後2年です。2年以内の請求の意思を表示していなければ権利は消滅します。


 財産分与は協議が前提となりますが、話し合いができないなら家庭裁判所に調停を申し立てることが可能です。

 

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2015.03.21更新

Q.昨年父が亡くなり遺産分割の手続も終わりました。ところが最近叔父から連絡があり、昭和50年に亡くなった祖父の名義の土地が残っていたらしく、その土地が県道敷設の収用対象地になっているので、売却のために判を押してほしいとのことでした。
 祖母は健在で、父には兄弟が父を含めて3人、父の相続人は母と私、妹の三人です。土地収用の補償金をもらえるそうですが、私たち家族には、どのくらいの配分があるのでしょうか。

 

A.相続開始の時期によって法定相続分が変わることがある!

 

 祖父の土地が遺産分割協議の対象から漏れてしまい忘れ去られていたようです。実務では稀に見かけることで、何十年も放置されているうちに次々と相続が始まり、気づけば何十人も利害関係者がいて簡単に処分できなくなっているということがあります。
 

 さて、本件では、祖父が亡くなったのが昭和50年ですので、現在とは相続人の法定相続分が異なります。昭和55年12月31日以前に始まった相続では、妻と子が相続人の場合の法定相続分は、妻が3分の1、子が3分の2です。

 

 したがって、本件では、祖母が3分の1を、父を含む三人の子がそれぞれ9分の2ずつ相続していることになります。

 

 その後、父が亡くなっていますので、父が相続した9分の2は、母とあなた、あなたの妹の3人で相続したことになります。

 

 現在の法律では、妻と子が相続人の場合の妻の法定相続分は2分の1、子の相続分は2分の1ですので、本件の場合は、祖父から父が相続した9分の2の土地の持分を、母が9分の1、あなたと妹がそれぞれ18分の1ずつ相続したことになります。

 

 したがって、補償金は、母が9分の1、あなたと妹さんがそれぞれ18分の1ずつ取得すればよいことになります。

 

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2015.03.18更新

Q.私は夫と結婚して10年になりますが、子供はいません。夫の両親とは同居で、住まいは義父名義の自宅兼店舗です。私は、結婚後稼業のお店を手伝ってきました。家事もこなしながらお店を手伝い、病気がちの義父の世話も続けてきました。最近夫が癌を患い、お店は義母と二人で続けていますが、夫に万が一のことがあったときのことが心配です。夫には遠方でサラリーマンをしている弟がいます。

 

A.両親が亡くなった後もお店を続けられるように遺言を残してもらう!

 

 夫が万が一亡くなった場合、夫の遺産は、妻であるあなたが3分の2を、夫の両親が6分の1ずつを相続する権利があります。しかし、夫が義父よりも先に亡くなると、将来義父が亡くなったときの義父の遺産を相続する権利はありません。お子さんがいればお子さんが義父の遺産を夫に代わって相続する権利(代襲相続権)がありますが、妻であるあなたには代襲相続権はありません。


 したがって、今のまま夫が亡くなり、その後義父が亡くなると、義父名義の自宅兼店舗は、義母が2分の1を、夫の弟が2分の1を相続することになります。
また、義母が先に亡くなり、義父が後で亡くなると、自宅兼店舗は夫の弟が100%相続することになります。

 結婚後苦労されてきたのに不合理とお感じになるかもしれませんが、法律上は仕方がありません。

 

 これを防ぐには、義父に、夫に万が一のことがあった場合に備えて、自宅兼店舗の全部又は一部をあなたが相続できるよう、遺言を残しておいてもらうことです。

 

義理の両親と養子縁組をすることを検討する!

 

 また、遺言だけでなく、お店を続けているあなたを義父の養子として迎え入れてもらい法律上も相続権があるようにしておいてもらうことが一番です。

 

 義父にとっても、万が一実子であるあなたの夫が亡くなるようなことがあり、あなたが家を出ると言い出すとお店を維持できなくなりますので(法律上は夫亡き後は義父母との親族関係を終了させることができます。)、夫とも相談し、よく事情を話して理解を求めれば応じてくれると思います。

 

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2015.03.09更新

Q.妻とは結婚して10年になります。妻との間には小学生の子供2人がいます。妻は数年前から会社の上司と不倫関係にあり、上司の子を妊娠中絶したこともありました。私は離婚を決意し、調停を申し立てましたが妻が応じません。私には亡くなった父から相続した土地建物があります。離婚する前に私が死んだら、このような妻に対しても遺産を残さなければならないのでしょうか。

 

A.離婚裁判中でも夫婦である限り相続権がある!

 

 離婚を決意しても相手が応じなければ家庭裁判所に調停を申し立て、離婚の協議をしなければなりません。調停でも結着がつかなければ離婚裁判を起こさなければなりません。

 離婚原因となっている事情について双方の主張が真っ向から食い違っている場合はもちろん、そうでなくても子供の親権者をいずれにするか、養育費をいくらにするか、子供との離婚後の面会交流をどうするか、財産分与の方法、慰謝料のことなど、様々な点で折り合いがつかず、裁判になっても相当時間を要することがあります。


 その間に事故や病気などでいずれかが亡くなれば、婚姻関係は死亡により当然終了し、離婚は成立しないまま裁判手続は終了してしまいます。また、死亡時点で法律上夫婦関係があったなら生存配偶者は死亡した配偶者の遺産を相続する権利があります。これは夫婦関係が破綻をして離婚裁判になっていても同じです。

 

 質問者のケースは、妻が浮気をして他人の子を妊娠中絶するなど質問者の信頼を裏切り、夫婦関係を破綻に導いた非がありますので、質問者が財産を相続させたくないと思う気持ちも理解できなくありません。特に、夫婦で築いた財産ではなく、亡くなった父から相続した土地建物があるならなおさらでしょう。

 

遺言を残すことを考える! 

 

 このような場合は、早い時期に自らの全ての財産をお子さんやその他の方に相続させる遺言を残しておくことにより、妻に遺産を残すことをある程度防ぐことが可能です。遺言は、後で効力を争われることがないよう、公証役場で作成されるのがよいと思います。

 

 しかし、これだけでは、妻には法律上最低限保証される相続分(遺留分、質問者の場合は4分の1)がありますので、妻が遺言で遺産を受け取ることになった者に対し、遺留分減殺請求権を行使して財産の返還を要求してくる可能性があります。

 

相続人の廃除の審判を申し立てる!

 

 そこで、妻に遺留分の主張をさせないため、妻を相続人から廃除する手続をとることが考えられます。相続人の廃除は、兄弟姉妹以外の相続人となる者が、被相続人に対して虐待をしたり、重大な侮辱を与えたり、あるいはその他著しい非行があったりするときに、その者から遺留分を含む相続の権利を失わせる制度です(民法892条)。

 

 廃除の手続は、生前に家庭裁判所に対して調停、審判を申し立てることによって行いますが、遺言によっても可能です。必ず認められるとは限りませんが、相手との交渉にあたって有効な手段となるでしょう。

 

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2015.03.03更新

Q.3年前に元夫と離婚し、子供二人を一人で育てています。離婚する際は、元夫と一日も早く離婚したくて養育費はいらないので離婚してほしいと言って応じてもらいました。しかし、その後、収入が減り、生活が行き詰ってしまいました。今から元夫に養育費を請求することはできないでしょうか。

 

A.子の養育を受ける権利を放棄することはできない!

 

 養育費はいらない、という発言の意味をどうとらえるかによりますが、お子さんの父に対する扶養の権利を子に代わって放棄したという意味なら、そもそもそのような権利放棄は無効です。扶養を受ける権利は法律上処分することができないとされているからです(民法881条)。

 

 これに対し、単に、子供らの扶養の責任は、自分が一人で負担するという子の監護に関する方法の意思表明に過ぎないのであれば、離婚時と経済事情が変わって子の養育に支障が生じていますので、今からでも子の監護に関する協議を申し入れることが可能です。


 元夫が話し合いに応じないなら、家庭裁判所に子の監護に関する調停を申し立てて調停委員を間に入れて話し合うこともできます。元夫がそれでも応じない場合は、家庭裁判所が双方の収入と子の人数・年齢に応じて養育費の額を決定し、元夫に支払を命じてくれます。

 

 審判が確定すれば、元夫の給与やその他の財産を差し押さえることも可能です。

 

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