2016.04.28更新

Q. 交通事故でけがをしました。区役所の無料相談に行くと、治療が終わってから来てください、と言われました。なにか今のうちにしておくことはないでしょうか。

 

A. 区役所の方は、「治療が終わらないと加害者に請求する損害額が確定しないので、今は治療に専念しておけばよい」というつもりでおっしゃったのでしょう。

 

 しかし、被害に遭っても何もせず、人任せにしておくだけでは、いざ加害者に損害賠償を求めていく段階になって、あれもこれもと要求されて戸惑ってしまいます。やはり自分なりに将来の請求に備えて今行っておくべきことは事故直後から準備しておくべきです。

 

 例えば、事故状況に争いがある(将来争いが生じる可能性がある)なら、できるだけ記憶が鮮明なうちに現場の事故状況を思い出し、現場の写真を撮るなどして調査書としてまとめておくべきです。

 特に物損事故扱いとなっている場合は、事故直後の警察官の簡単なメモ程度しか書類は残りませんので重要です。人身事故扱いとなっていて警察の実況見分に立ち会う場合でも、調査書は記憶喚起のために非常に役立ちます。

 

 また、治療を続けるためにかかった費用は、ノートを作って領収書を貼りつけ、時系列で何がどれだけかかったかを記録に残しておくべきです。

 加害者が任意保険に加入している場合は保険会社が大半の治療費を支払ってくれますが、保険会社が支払の対象から外してくる治療費もありますし、交通費や付添人の費用、仕事を休んだことによる損害など、後で請求していくものは、予め証拠書類とともに保管しておくべきです。保険会社に領収書等を提出する場合も、必ずコピーをとっておいてください。

 なお、治療は、なんでも自分の判断で行えばよいというわけではなく、特に整骨院など病院以外で治療を受ける場合は医師の指示を前もって得ておく必要があります。これがないと後で治療費を請求できなくなるおそれがありますので注意してください。

 

 このほか、治療は自由診療扱いにするのか、健康保険扱いにするのか、健康保険扱いにする場合には健康保険から要求される第三者行為による傷病届や念書等の手配をする必要があります。

 

 加害者が任意保険に加入していない場合には、自賠責の仮渡金や内払金を請求することも検討すべきですし、生活が立ちいかなくなるおそれがある場合は一時的にでも生活保護を申請しなければならないこともあるでしょう。

 

 また、自分や家族が加入している医療保険や自動車保険も調べておくことです。見落としがちなのが、家族が加入している自動車保険の特約です。特約には、例えば、被害者の過失の有無を問わず一定の損害賠償金を受け取れる人身傷害補償特約や弁護士費用特約など請求にあたって注意すべきものがあります。人身傷害補償特約については、加害者との示談がまとまる前に保険金を受け取れることがありますし、被害者の過失が大きい場合には受け取れる金額が大きくなることがありますので、後で忘れていたということにならないよう予め調べておく必要があるでしょう。

 

 このほか、具体的事案によって準備すべきことは異なりますので、できるだけ早い時期に、交通事故の処理について経験豊富な弁護士に相談し、事故後の流れについて適切なアドバイスを受け、ある程度の見通しをもったうえで、安心して治療に専念できるようにしておくべきでしょう。

 

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2016.04.27更新

Q.最近年を取って病気がちになっています。自分が死んだあと、二人いる子供らが相続で揉めないか心配です。主人は既に亡くなっています。私は長男夫婦と同居していますが、弟と長男は仲があまりよくありません。


A.遺産相続(遺産分割)は、亡くなった配偶者や子、親、兄弟の遺産を身内で分け合う手続です。常日頃から関係が良好であれば何の問題もなく話し合いで解決できます。

 しかし、身内にはいろいろな事情を抱えた方がいます。仲が良い場合もいれば、そうでない場合もあります。異母(父)兄弟姉妹が相続人になって感情のもつれから争いとなることや、残された配偶者と生前ぎくしゃくしていた義理の両親、兄弟姉妹が相続人になることもあります。

 

 また、生前に故人の面倒をよく看た相続人とそうでない相続人、生前贈与を受けた相続人とそうでない相続人、故人の愛情を一身に受けた子とそうでない子、長男だからと親の遺産を多く相続したいと主張する、以前は遺産に関心がなかったのに経済事情の悪化から自分達の生活のために遺産を受け取りたいと思うようになるなど、事情は様々です。

 

 もちろん、身内との関係を良くしておくことが一番ですが、必ずしもそうでないことも多いご時世ですから、「相続」が「争族」とならないよう対策を考えておく必要があります。

 

 ご質問のケースは、お子さんらの仲が良くないということですから、今のまま相続が発生しますと、それぞれが自分の都合を主張して、収拾がつかなくなる可能性があります。そのならないためにも、誰にどの遺産をどのくらい相続させるのかを具体的に書いた遺言書を残しておくことが肝要です。

 

 遺言書は、簡単なものであれば、自筆で遺言の全文を書いて日付と自署捺印をしておけば最低限の要件を満たしますが、遺言の存在を公証する手段がありませんし、遺言の効力を争われる可能性が高まりますので、余計な紛争の火種を残すことにもなりかねません。

 

 そのため、できれば公証役場で公証人と証人2名の面前で遺言の内容を口授し、公証人が書き取った内容を遺言書として残す公正証書遺言にしておくことが確実です。

 

 公正証書遺言であれば、全国どこの公証役場でも公正証書の存在を確認できますし、公証人という公務員と信頼できる証人の面前で作成された公正証書の効力が争われる心配は少なくなります。

 

 なお、遺産の内容や規模にもよりますが、遺言書には、遺言の内容を実現する遺言執行者を定めておき、万が一のためにその方に責任をもって遺言の内容を実現してもらえるようにしておくことが望ましいでしょう。遺言執行者は、弁護士や司法書士などに依頼することが多いです。

 

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2016.04.20更新

Q.職場の同僚と不倫をした夫から離婚したいと言われました。子供も未だ小さいので離婚したくないのですが、離婚しなくてはいけないのでしょうか。

 

A.夫婦の一方が離婚を申し出ても他方がこれに応じなければ離婚は成立しません。

 

 離婚したくないと相手に離婚を法的に強制するためには、次の理由が必要です(民法770条1項)。

①不貞(配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと)
②悪意の遺棄(正当な理由なく夫婦の同居協力扶助の義務を果たさないこと)
③3年以上の生死不明
④強度の精神病で回復の見込みがない
⑤婚姻を継続しがたい重大な事由

 

 ご相談の件も、あなたの方に上記①から⑤のいずれかの事情がなければ、夫がいくら離婚したいと言っても離婚を法的に強制することはできません。必ずあなたの同意が必要となります。もし、あなたが離婚したくないと思っているなら、夫に離婚には応じないときっぱり意思を伝えることです。

 

 ただし、夫が離婚したいと申し出たことの意味は重大です。破綻の危機に瀕した夫婦関係を修復していくためには、離婚したくないという気持ちを伝えるだけでなく、これまでの夫婦の問題点と真摯に向き合い、改善に向けて努力し続けることが必要です。これを怠れば、離婚したいと申し出た夫とはいずれ別居となり、その期間が長期に及べば、結果的に上記離婚理由のなかの「⑤婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとして、離婚が認められることにもなりかねません。

 

 ところで、夫婦関係を元通りにすることはできないかもしれませんが、夫が浮気をしている客観的な証拠を確保できた場合は、夫は妻であるあなたに対する関係で信頼関係を裏切った「有責配偶者」となりますので、別居が多少続いたとしても、夫からの離婚請求は信義則に反して認められません。お子さんが幼少であれば少なくとも10年以上別居状態が続かなければ離婚は認められないでしょう。

 

 何を重視するかによって、離婚を申し出てきた夫に対する対応の仕方は変わってきますので、これが正しい、という決まった方策はありません。自分とお子さんにとって一番なにが大切か、どうすれば離婚による影響を最小限に抑えられるかを、専門家ともよく相談して決めていくことが大切です。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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