2015.07.19更新

Q.母は、三人兄妹の2番目で、上に姉と弟(私にとって叔母と叔父)がいます。私は弟と二人兄弟です。叔母は生涯独身で子供もいません。叔母はここ10年ほど体調を悪くして入退院を繰り返していたため、母が叔母の看病や身の回りの世話をしてきました。 
 そのため叔母は、母のために遺産を全部譲るという遺言を残してくれているそうです。ところが、最近叔母よりも先に母が亡くなりました。叔母は痴呆で特別養護老人ホームに入っていて、母が亡くなった後は、私が叔母の世話をしています。
 この先叔母が亡くなったとき、叔母が亡母のために残してくれた遺言はどうなるのでしょうか。


A.叔母の遺言は無効となる?

 

叔母が残した遺言は、受遺者(遺言によって遺産を譲り受ける人)である母が遺言者(叔母)よりも先に亡くなったことで効力を失います(民法994条1項)。遺言者は、通常自分の財産を特定の受遺者に譲り渡すために遺言を作成していますので、その受遺者が自分より先に亡くなってしまったら遺贈の目的を果たせないと考えるのが通常だからです。


 ただ、遺言に、母が先に亡くなったときは、その相続人である質問者や弟さんに遺贈する、という一文が入っていれば、叔母が亡くなった後、質問者と弟さんが叔母の遺産を譲り受けることができます。

 

叔母が亡くなったら遺産はどうなるの? 

 

 遺言が効力を失った場合、叔母の遺産はどうなるのでしょうか。
 

 叔母は独身で子供もいないとのことですので、親(質問者にとっての祖父母)も既に亡くなっていれば、叔母の兄妹が相続権を有することになります。母は叔母よりも先に亡くなっていますので、母が相続するはずであった相続分は、母に代わって質問者と弟さんが代襲相続することになります(民法889条2項)。
その場合の相続分は、叔父が健在であれば、叔父が2分の1、質問者と弟さんが各4分の1ずつです。

 

生前の貢献は寄与分で調整!

 

 なお、質問者はもちろん、質問者の母も、長年にわたり叔母の療養看護に尽くしてきていますので、それが叔母の財産の維持と増殖に特に貢献したと見られる場合は、その貢献度に応じて、遺産から貢献分(寄与分)を先に取得し、残りを法定相続分に応じて分割をするという遺産分割方法を求めることが可能です。

 


⇒弁護士好川久治の相続問題に関する情報はこちら 

 

⇒港区虎ノ門の弁護士好川久治への相談・問い合わせはこちら

 

ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
℡03-3501-8822|9:30~18:00
東京都港区虎ノ門1丁目4番5号 文芸ビル8階

投稿者: 弁護士好川久治

2015.07.10更新

Q.最近、年をとったせいか、自分が死んだ後のことを考えるようになりました。大した財産があるわけではありませんが、私が死んだ後、わずかな遺産をめぐって家族が争うようなことがないようにしたいと思っています。遺言には、自筆証書遺言というものがあると聞きました。具体的にどのように作成すればよいのでしょうか。


A.自筆証書遺言は便利だけれども厳しい要件が!

 

 自筆証書遺言は、遺言者が遺言の内容全部を自分で筆記し、日付及び氏名を自書し、最後に押印することによって作成します。書き損じた場合は、元の記載内容が分かるように訂正あるいは変更をして変更場所に押印し、欄外に訂正をしたことを付記して署名する必要があります(民法968条)。


 遺言は、効力が発生した時点で遺言者が死亡していますので、後で遺言者の意思を確認することができません。そのため、遺言者の最終意思である遺言の内容が正確に書面に表され、内容が実現されるように、民法では遺言は法律の定める方式によらなければ効力を生じないとされています。したがって、たとえ故人の意思が表れていたとしても、単なるメモや録音、日記などでは遺言としての法的効力は認められません。

 

 遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、緊急の場合の特別方式の遺言があります。このうち、自筆証書遺言は、もっとも基本的な遺言の方式で、費用もかからず簡便に作成することができますので便利です。しかし、偽造や変造がされやすく、内容を秘匿できないなどのデメリットがあります。また、公正証書遺言と違って、遺言の保管者は、相続の発生を知った後、遅滞なく家庭裁判所に遺言を提出して検認を請求しなければなりません。相続人が遺言を発見した場合も同様です(民法1004条)。

 

自筆証書遺言を作成するポイント

 

 ところで、自筆証書遺言の作成にあたって留意すべき点は、次のとおりです。

 

①遺言の内容は、全文を手書きしなければなりません。ワープロ打ちをしたもの、他人に口頭で告げて代筆してもらったもの、点字で記したもの、録音などは、いずれも無効です。内容は必ずしも日本語でなくても構いません。

 

②日付は、年月日まで正確に書く必要があります。「平成27年5月吉日」などと日付が特定できないものでは、遺言は無効となります。また、日付は遺言を完成させた日を正確に書く必要があります。日付は、遺言をした時点の遺言者に遺言能力があったこと、遺言の撤回の有無、効力を判断するために重要な意味を持ちますので、実際の日付と違うものは無効になります。

 

③氏名は、通称名やペンネームでも構いませんが、遺言者本人が書いたことが分かるように自書でなければなりません。字がうまく書けない遺言者のために、他人が手を支えて筆記を助けることは許されますが、代書することはできません。

 

④印は、認印でも構いません。

 

⑤遺言の本文の記載を間違えた場合は、民法に定める方法で訂正しなければなりません。具体的には、元の記載内容が分かるように訂正あるいは変更をして該当場所に押印し、欄外に訂正をしたことを付記して署名する必要があります。

 後で訂正の効力が争われないためにも、訂正が必要となった場合は書き直したほうがよいでしょう。

 

⇒弁護士好川久治の相続問題に関する情報はこちら

 

⇒港区虎ノ門の弁護士好川久治への相談・問い合わせはこちら

 

ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
℡03-3501-8822|9:30~18:00
東京都港区虎ノ門1丁目4番5号 文芸ビル8階

投稿者: 弁護士好川久治

2015.07.04更新

Q.私は夫と20年来の内縁関係にありました。先日、夫が亡くなり、大家さんにそのことを伝えたところ、夫には収入があったので建物を貸していたが、私には収入がないので出て行って欲しいと言われてしまいました。私は、出て行かなければならないのでしょうか。私は無職ですが、夫の加入していた厚生年金から遺族年金がおりる予定で、家賃は今までどおり支払っていけそうです。なお、夫は再婚ですが、前妻との間に子供がいるかどうかは分かりません。

 

A.家賃を払い続けて住み続けることが可能!

 

 亡くなった夫と前妻との間に子供がいるかどうかにかかわらず、質問者は大家(賃貸人)に対し、居住の権利を主張することが可能ですので、このまま家賃を支払いながら住み続けることが可能です。大家が家賃を受け取らない場合には、法務局に家賃を供託することも可能です。

 

 夫婦には、いろいろな事情から籍を入れずに生活する方が大勢います。そのような方々(内縁の夫婦)も、夫婦である以上、法律上できるだけ入籍をした正式な夫婦と同様に取り扱うことが望ましいと考えられており、法律や判例もこれに沿った考え方がとられています。

 しかし、内縁の配偶者には相続権がありませんので、賃貸借の契約者である他方が亡くなっても、当然にはその地位を引き継ぐことはできません。

 

内縁の夫に相続人がいてもいなくても居住の権利を主張できる!

 

 そこで、法律及び判例は、内縁の夫婦の一方がその名で借りた住居に夫婦が居住してきた場合に、名義人が亡くなっても残された配偶者が安心して暮らしていけるよう内縁配偶者に一定の権利を認めています。

 

 一つは、借地借家法の規定で、居住用建物の賃借人が相続人なしに亡くなった場合、その当時婚姻の届出をしていなかったけれども、賃借人と事実上夫婦と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者が建物の賃借人の権利義務を承継する、と定めています(民法第36条)。
 ですから、夫に相続人である子や親兄妹がいなければ、質問者は当然に夫の賃借人としての地位を引き継ぐことができます。

 

 もう一つは、判例で、建物の賃借人が亡くなった場合、残された内縁配偶者は、亡くなった配偶者の相続人が承継をした賃借人の地位を援用して、賃貸人に居住の権利を主張できる、としています(最高裁判昭和42年2月21日判決)。

 

 この場合、相続人が家賃を支払わない場合は、賃貸人から契約を解除されるおそれがありますので、残された内縁配偶者は、契約を解除されないため、利害関係人として賃貸人に家賃の立替払いをすることが必要となってきます。

 

⇒弁護士好川久治の相続問題に関する情報はこちら


⇒港区虎ノ門の弁護士好川久治への相談・問い合わせはこちら


ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
℡03-3501-8822|9:30~18:00
東京都港区虎ノ門1丁目4番5号 文芸ビル8階

投稿者: 弁護士好川久治

メールでのお問い合わせはこちらから tel:03-3501-8822
初回相談30分無料 tel:03-3501-8822
弁護士好川のシェアしたくなる話
Q&A
実際の解決事例
あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
あんしん相続相談ガイドに掲載されました。