2015.06.01更新

Q.先日自転車を乗っていると、後方から走ってきたバイクにぶつけられ、転倒して骨折をしてしまいました。バイクに乗っていたのは高校生で、よそ見をしていて私の存在に気づくのが遅れたそうです。私は救急車で病院に運ばれましたが、バイクは自賠責保険にしか加入しておらず、治療費も自費で立て替えなければならない状況です。
 事故で入院をしている間は仕事を休まなければならず、退院後もしばらく松葉づえで仕事に復帰できるのは数か月先になりそうです。相手は高校生で収入もないため、親に請求したいと思っていますが可能でしょうか。

 

A.当然には親に責任を追及できない?

 

 バイクに乗っていたのが高校生ですと、損害賠償については高校生が責任の主体となりますので、原則として両親に対しては治療費等を請求することはできません。例外的に、高校生の子供がバイク事故を起こす具体的な可能性を両親が予見できた場合には、両親に対して治療費等を請求していくことが可能です。


 また、両親がバイクの所有者であるなど、「運行供用者」にあたる場合にも、治療費等の怪我による損害に限り、両親に対して補償を求めていくことが可能です。

 

高校生ともなれば自分のしたことは自分で責任を負う

 

 交通事故等による損害賠償を求めることを、不法行為責任を追及するといいます。不法行為責任を追及するには、加害者に不法行為の責任を理解する能力が必要です。この能力のことを「責任能力」といい、おおよそ中学生以上の子供であれば責任能力があるとされています。

 

 小学生が自転車に乗っていて他人に怪我をさせれば両親が代わって損害賠償責任を負いますので、被害者は両親を相手に治療費等を請求していくことが可能ですが、さすがに高校生ともなると、バイクに乗っていて他人に怪我を負わせれば自分にどんな責任が発生するか理解できますので、たとえ未成年者であっても高校生自らが賠償義務を負わなければなりません。この場合、両親は原則として責任を負いません。

 

親が責任を負わなければならない場合とは?

 

 しかし、両親に、子供が事故を起こす具体的な可能性を予見させる事情があり、これを回避することも可能な状況があれば、両親には、自らの子供に対する監督責任を怠った過失がありますので、被害者は両親に対しても、直接不法行為を根拠に損害賠償を求めていくことが可能です。

 

 質問者のケースでは、高校生の子供が、日頃から無免許あるいは交通違反を繰り返していた、免許を取り立てで直前にも同様の交通事故を起こしていた、両親が高校生の無謀な運転を見て見ぬふりをしていた、などの事情があれば、両親も子供が事故を起こすかもしれないことを具体的に予見できたと言えますので、治療費等を請求していくことが可能です。

 ただし、過去に事故を起こしたこともなく、具体的に事故を予見させる事情がなければ両親の責任を問うことはできません。

 

運行供用者責任とは?

 

 また、両親が、自動車損害賠償保障法3条が定める「運行供用者」にあたれば、物損以外の治療費等の損害に限り、補償を求めていくことが可能です。

 

 運行供用者とは、自己のために自動車を運行の用に供する者、つまり、自動車の運行について利益を得、自動車をコントロールする立場にある者のことで、自動車の所有者がこれにあたります。質問者のケースですと、バイクも自動車にあたりますので、両親がバイクの所有者であれば、両親に対して補償を求めていくことが可能です。

 また、両親が所有者である場合のほか、子供にバイクを買い与えていた、バイクの維持管理費を両親が負担していた、などの事情がある場合も、「運行供用者」として責任を追及できる可能性がありあす。

 

 なお、運行供用者の責任を問う場合の補償の対象は、人身損害の補償に限りますので、自転車の修理費等の物損の補償を求めることはできません。

 

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投稿者: 弁護士好川久治

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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