2014.12.26更新

Q.私たち夫婦の家計管理は妻である私がおこなっています。夫には月々決まった小遣いを渡しています。あるとき、間違って夫に来た手紙を開封すると、サラ金らしき会社からの督促の手紙でした。手紙には100万円近い金額を支払うように書かれており、指定された日までに払わなければ法的手続をとると書かれてありました。夫を問い詰めると、飲み会で小遣いが足りなくなったときに借りたものだと白状しました。もし夫が払わないと、妻である私の財産を差し押さえられてしまうのでしょうか。

 

A.日本の民法では、夫婦とはいえ、それぞれの名義で有する財産は各自のものとされていますので(夫婦別財産制の原則)、夫の財産と妻の財産は明確に区別されます。借金も同じで、夫の借金は夫だけの債務、妻の借金は妻だけの債務で、夫の借金のために妻の財産が差し押さえられることはありません。

 

 しかし、これには例外があって、例えば、家事をあずかる妻が食料品や衣類、日用品を購入したような場合に、夫にも購入代金の責任を負わせることにしています。夫婦は家計を同じくして生活を共にしていますので、一方のした日常家事によって、他方も利益を得る関係にありますので、このような場合には夫婦が共に責任を負うとするのが取引の相手方の期待にも添い、公平だからです。
 

 民法は、「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。」と規定し、夫婦が日常の家事に関する債務について連帯責任を負うと定めています。

 

 夫婦が連帯責任を負う日常家事債務には、食費、被服費、家賃、光熱費など、夫婦が結婚生活を営むうえで必要な費用の債務が含まれます。これに対し、高級な衣服やバッグ、装飾品などは一般的には日常家事債務にはあたりません。また、夫婦の一方の個人的な趣味嗜好のための費用や不動産の購入なども日常家事債務には該当しません。

 

 質問者の夫の場合も、小遣いが足りず、飲み会の費用を借金で賄ったというのですから、夫の個人的な趣味嗜好、交際のための借金といえます。
 したがって、妻である質問者が夫の借金を負担しなければならなくなることはありません。

 

 もっとも、家計を同じくしている以上、夫の借金は最終的には夫婦の家計のなかから返済していかなければなりません。家計を任された質問者も、夫に自制を促し、家計をやりくりして、出来るだけ早く借金を返済し、家計の負担にならないようにしていく努力が必要です。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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