2015.05.20更新

Q.私は姉と二人姉妹で、姉は嫁ぎ、私は独身です。母は3年前に亡くなり、私は父と二人で暮らしてきました。父が2年前に脳梗塞で倒れて車椅子生活をするようになってからは私が父の介護を続けてきました。
 父も私の将来のことを心配し、父の財産を全て私に譲ってくれると言って、公正証書遺言を作成してくれました。
 ところが、姉が父から自宅の権利証を渡され、持ち出してしまいました。私は、姉に対して何か言えることはあるのでしょうか。

 

A.父の本心を確認しなければなりません

 

 まず、父が姉に自宅の権利証を渡した本心を確認しなければなりません。単に預けただけなのか、姉が父を惑わしたり、騙したりして父の意思に反して権利証を持ち出したのか、自宅を姉に譲ろうとしたのか、いろいろな事情が考えられます。

 

 父が姉に権利証を預けたのであれば、なんのために預けたのかを父に確認してもよいでしょう。
 父は健在ですから、たとえ父が質問者のために遺言を残してくれていたとしても、亡くなるまでは、自宅は父の財産ですから質問者が父の意思に干渉することはできません。

 しかし、父は脳梗塞で倒れて自由がきかない状態で、しかも高齢であるとすれば、預けることの意味を本当に理解しているとは限りません。物事を理解し、判断する能力に衰えが見られるなら家庭裁判所で成年後見人を選任することも検討しなければなりません。

 仮に、父が姉に権利証を預けた理由がはっきりしているなら、父の意思が正しく実現されるよう、介護する妹として姉の行動に目を光らしておく必要があるでしょう。

 

成年後見人の選任を検討する

 

 次に、姉が父の意思に反して権利証を持ち出したのであれば、父のために権利証を返還するように姉に要求すべきです。これは、法的な要求ということではありませんが、父の意思に反して大事な権利証を持ち出すこと自体、穏やかではありませんから、姉妹として当然要求すべきでしょう。先ほどと同様に、父の判断能力が不十分になっているなら成年後見人を選任し、後見人から姉に対して返還を求めるべきです。 

 権利証だけで自宅を無断で処分できるわけではありませんが、実印や印鑑カードまで渡しているようなら悪用の危険がありますので、念のために改印手続をしておいたほうがよいでしょう。

 

父の本心なら尊重されるべき!

 

 以上に対し、父が本心から姉に自宅を贈与したり、売却したりするつもりで権利証を渡したとすれば、それは父の意思ですから質問者がとやかく干渉できることではありません。

 質問者にしてみれば、父の介護をして、父からも財産を全部あげると遺言まで残して貰っていますので、姉に対して不満を抱くのは無理もありませんが、父が遺言に反する生前処分をしたとすれば、その部分について遺言は撤回されたことになりますので(民法1023条2項)、遺言を理由に文句を言うこともできないでしょう。

 


⇒弁護士好川久治の相続問題に関する情報はこちら

 

⇒港区虎ノ門の弁護士好川久治への相談・問い合わせはこちら

 

ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
℡03-3501-8822|9:30~18:00
東京都港区虎ノ門1丁目4番5号 文芸ビル8階

メールでのお問い合わせはこちらから tel:03-3501-8822
初回相談30分無料 tel:03-3501-8822
弁護士好川のシェアしたくなる話
Q&A
実際の解決事例
あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
あんしん相続相談ガイドに掲載されました。