2015.05.02更新

Q.私は、三人兄妹で、上に兄と姉がいます。兄は10年以上前に当時勤めていた会社を退職して海外に留学し、今は外資系の会社に勤めています。兄は、海外留学をする際、父に頼み込んで留学費用を1000万円以上出してもらいました。兄は父に、留学費用を出してくれるなら、父が亡くなったときは相続を放棄して遺産を姉と私に譲る、と約束したそうです。そのとき兄が書いた誓約書も存在します。
 昨年父が亡くなり、父の遺産分割の話し合いをしようとしたところ、突然兄が自分にも相続する権利があると言ってきました。姉と私は、誓約書を盾に兄を話し合いから外すことはできるでしょうか。

 

A.生前に書いた遺産の放棄の誓約書は無効!

 

 残念ながら兄を遺産分割の話し合いから外すことはできません。生前兄が相続を放棄すると約束していたとしても、法的には効力は生じないからです。

 

 相続放棄は、父が亡くなったあとに家庭裁判所に相続放棄の申述をして受理されることにより初めて効力が生じます。また、遺産分割協議において自分の受取分を放棄する遺産の放棄も、父が亡くなった後にしなければ効力は生じません。

 

 ご質問のケースで兄と父の合意を確実なものとするには、生前に家庭裁判所の許可を受けて兄が遺留分を放棄し、併せて父が遺産を姉と質問者に相続させる遺言を残すことが必要です。
 このようにお書きの誓約書では兄の相続権を否定することはできず、兄を話し合いから外すことはできません。

 

留学費用の援助は特別受益として持ち戻せる

 

 しかし、兄は勤めていた会社を退職して海外留学をし、その経験を生かして今現在外資系の会社に勤めているのですから、父が兄に与えた1000万円以上の海外留学費用は、兄の「生計の資本」として贈与されたものといえます。

 

 したがって、遺産分割協議においては、兄が受けた留学費用を「特別受益」と考えて、まず現存する遺産に留学費用を加算し、それを兄の法定相続分に応じて分けた金額から留学費用を控除するという計算方法を取ることが可能です。これによって、実質的に兄妹間の公平をはかれます。

 

 なお、現存する遺産が少なく、留学費用を控除しきれなかった場合、兄の具体的相続分はゼロとなりますが、マイナス分を返還するまでの必要はありあせん。この場合のマイナス分は、他の相続人が各自の具体的相続分に応じて負担しあうことになります。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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