2015.06.04更新

Q.先日、隣家が火事となり、自宅の屋根の一部と壁が焼けてしまいました。また、消防車の放水により、隣家に面する部屋が水浸しになり、家財道具が台無しになりました。火災の原因は、漏電のようです。隣家は築年数が古く、配電設備に火花が散って火災となったようです。借家人の話しによると、以前にも漏電が原因と見られるボヤ騒ぎがあり、家主に改善を要求していたようですが家主が応じなかったようです。
 火災による損害の補償は請求できないと聞いたことがありますが、泣き寝入りするしかないのでしょうか。


A.漏電火災と隣家の損害賠償責任について

 

 火災の原因が家屋の老朽化による漏電であったということは、家屋の構造自体に欠陥があったともいえますので、質問者としては、家屋の瑕疵(通常有すべき安全性を欠く状態)を主張して、第一次的に家屋の占有者である借家人に対し、第二次的に家屋の所有者である大家に対し、延焼による損害の賠償を請求していくことを考えるべきでしょう

 

失火責任法とは

 

 失火による延焼被害は、木造家屋が多く、住宅が密集する日本の住宅事情を考慮した失火の責任に関する法律により、火元に重大な過失がなければ、損害賠償を請求できないことになっています。「重大な過失」とは、注意義務を著しく怠った場合、言い換えれば、わずかな注意を払っていれば被害の発生を防げたのにその注意すら怠った場合を言います。寝タバコ、ガスコンロやストーブの火の放置、ガソリン等の揮発性の高い物質を火の近くで取り扱う、などがこれにあたります。

 

 漏電は、不可避的あるいは偶発的に発生することも多いものですので、必ずしも重大な過失があるとは限りません。
 質問者のケースでは、家屋が老朽化し、過去に漏電による火災も発生したことがあるということですから、家主としては必要な修繕等を行うべきであったといえます。したがって、この点を捉えて、家主に重大な過失があったとして責任を追及することは考えられます。しかし、修繕を行わなかったことが常に重大な過失があったと認められるかというと疑問もあります。

 

土地の工作物責任を追及する余地がある

 

 他方、隣家は築年数が古く、配電設備に火花が散って火災となったということですので、見方を変えれば、家屋の維持管理に本来あるべき安全性が備わっていなかったとも言えます。

 

 このような土地の工作物の設置又は保存の欠陥が原因で他人に損害を与えた場合には、工作物である家屋の占有者が損害賠償責任を負うことになっています(民法717条)。占有者が十分な注意を尽くしていれば責任を免れますが、その場合、所有者が代わって責任を負うことになります。この所有者の責任は過失の有無を問いません。

 

 しかも、火災の場合、失火の責任に関する法律の適用もないとする先例がありますので、もし漏電による火災について、失火の責任に関する法律では責任を問えない場合でも、家屋の設置又は保存の欠陥を理由に損害賠償を求めていく余地があります。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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