2015.07.01更新

Q.私は、アパレルメーカーに勤める会社員です。先月、転職先が決まり会社に退職を申し入れたところ、現在住んでいるマンションを出るように言われました。社宅は、今の会社に入社したときに会社が借り上げて社宅として提供してもらったものですが、家賃は近隣相場とそれほど違いはありません。ただ、管理費の負担はなく、毎月住宅手当として、家賃の1割相当の支給を受けています。会社は、社宅規程には退職と同時にマンションを明け渡すことになっているので退去するように言ってきています。私はマンションを出なければならないのでしょうか。

 

A.当然に退去に応じなければならないわけではない!

 

結論から申し上げると、退職だけを理由に直ちに退去する必要はないでしょう。ただし、会社は社員である質問者のためにマンションを借り上げ、大家にも社員であることを理由に居住を認めてもらっている面がありますので、会社との契約を合意により解消し、大家との直接の契約に切り替えて契約をしなければならないと思います。その際、大家から敷金、礼金の負担を求められることになりますが、これはご自身で負担しなければなりません。また、当然のことですが、住宅手当はなくなり、管理費もご自身で負担しなければなりません。

 

借地借家法で保護される?

 

 まず、社宅として借り上げた物件に借地借家法の適用があるかどうかが問題となります。
 借地借家法は、建物賃貸借における賃借人を保護するために、民法の一般原則を賃借人に有利に変更しています。例えば、民法の一般原則では、期間の定めのない賃貸借の場合、賃貸人は3カ月前に予告をすれば賃借人を退去させることができます。退去を求めるために特別な理由も必要とされていません。
 

 これに対し、借地借家法では、賃貸人が建物の退去を求めるには6ヶ月前に予告をし、かつ、その間ずっと、建物の退去を求めることに正当な事由がなければなりません。

 正当な事由とは、賃貸人と賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関するこれまでの経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人による立退料の支払の申出を考慮して、退去を求めることを正当化できる事由のことを言います。賃貸人が建物を退去してほしいと考えるだけでは要件を満たしませんので、賃借人の保護が厚くなっています。

 

借り上げ社宅にも借地借家法の適用がある場合がある!

 

 質問者の場合は、会社に入社する際に、会社が借り上げてくれたマンションを借りている状況ですので、一般の賃貸マンションとは事情が異なる面があります。

 しかし、先例では、この場合でも近隣同種の賃貸物件と同程度の家賃を負担して賃借している場合には、借地借家法の適用があるとしているものが多いです。概ね家賃の半分以下の負担しかしていないケースでは、特殊な使用許諾契約があるにすぎないとして借地借家法の適用を否定しています。
 質問者のケースは、管理費と家賃の1割の住宅手当の支給を受けているにすぎませんので、一般の賃貸マンションと同様、借地借家法の適用があると考えてよろしいかと思います。

 

大家との直接契約に切り替えることが現実的

 

 ただし、会社は大家から物件を借り上げて、それを質問者に転貸(又貸し)していますので、大家さんは、質問者が会社の従業員でなくなった時点で、転貸を認めないと言い出すかもしれません。
 会社としても、社員でない者のために賃借人として家賃の支払義務を負うことは避けたいでしょう。質問者も、退職した後まで会社との関係を続けることに違和感を覚えることでしょう。

 

 そこで、退職を機に大家と会社の三者間で協議をして、契約を大家さんとの直接契約に切り替えることを考えたほうがよいと思います。

 この場合、新たな契約となりますので、大家には敷金と礼金を支払い、管理費もご自身で負担していく必要があります。

 もし可能なら、これまでの賃貸の実績を理解してもらい、礼金を免除してもらえるよう大家と交渉されたらよいと思います。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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