2014.11.03更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 前回の続きですが、仮に、友達に怪我をさせてしまった場合はどうすればよいでしょうか?


① 子供が友達に怪我をさせてしまった場合は、とにかく直ぐに謝罪と見舞いに訪れ、最低限の誠意を示すことです。時間が経てば経つほど、被害感情は高まり、紛争解決にとってマイナスですから、できればその日のうちに訪問してください。事情があって時間がない場合でも電話一本くらいは入れてください。一旦被害者から不信感を持たれてしまうと、その後の紛争解決に悪影響を与えることになりますので注意が必要です。被害者は加害者が考えている以上に、加害者の一つ一つの対応に敏感で、常識的な態度や誠意ある対応を求めます。

 

② 次に、被害発生状況について、子供、学校、友人、可能であれば被害児童側からも情報を集め、学校など関係者とも密に連絡をとって事実関係の早期把握に努めてください。

 

③ ご自身で加入する個人賠償責任保険の適用がないかどうかを確認し、同時に、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度の利用手続を調べて被害児童側に情報提供することも忘れないでください。法的な責任の有無や程度は、事実関係が明らかになった時点で専門家に相談して考えればよいことですから、被害者側にも落ち度があるからといって放置しないでください。

 

④ その後も、被害児童の親には、定期的に連絡をとり、必要に応じて見舞いと謝罪を続けたほうがよいでしょう。

 

⑤ 被害者側から治療費等の請求があった場合には、被害発生状況を把握したうえで、その都度弁護士のアドバイス、保険(共済)の担当者と協議しながら、対応してください。
 治療途中に一時金を支払っても、治療が終わった後の示談の段階で「既払金」として精算すればよいですので、明らかに支払超過の疑いがある場合を除き、柔軟に対応したほうがよいでしょう。
 なお、支払の際は、領収書をもらい、あるいは銀行送金等により記録が残るようにしてください。また、保険(共済)利用の場合は、保険会社(共済)にも事前に連絡をして支払の了解をとるようにしてください。

 

⑥ 誓約書などの提出を求められた場合でも、事実関係がはっきりして最終的な責任の所在と割合が決まるまでは応じないほうがよいでしょう。
 被害の補償については、誠意をもって対応させていただきます、と言って一旦持ち帰り、弁護士とも相談するようにしてください。

 

⑦ 事件解決までは、被害者といつでもコミュニケーションをとれる関係を保つことが大切です。関係が決裂してしまえば、あとは裁判等で白黒つけざるを得なくなりますので、お互いにとって負担です。

 

⑧ 問題解決を人任せにはしないことが大切です。学校、保険会社の担当者等に協力を仰ぐことは必要ですが、とにかく自分で動くことが、被害児童の親との信頼関係を維持し続けるためにも必要です。事故後の対応の悪さにより、被害者に二次被害を与え、紛争が泥沼化してしまうと不幸です。
 子供同士の喧嘩だからと言って侮らず、特に相手が怪我をした場合は、被害児童へ配慮しながら、円満な解決に向けて双方が努力することが必要です。

 

 次回は、喧嘩をして被害者の立場からの対処方法について考えたみたいと思います。

 

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ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
℡03-3501-8822|9:30~18:00

東京都港区虎ノ門1丁目4番5号 文芸ビル8階

2014.11.02更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 最近、小学校や中学校で、友達同士で喧嘩をして怪我をしたり、反対に相手に怪我をさせてしまったり、という相談をよく受けます。

 直ぐに治る怪我なら、大事にせずとも当人同士、あるいは学校が間に入って親御さんらで謝罪をして解決することが多いのですが、被害児童が骨折をしたとか、歯を折ってしまったとか、頭を打って入院をしたとか、結果が重大な場合は、タダでは済みません。

 そこで、子供が学校で喧嘩をして怪我をし、あるいは怪我をさせてしまったときの問題について考えてみたいと思います。

 

 子供は、小学校を卒業するかしないかの年齢までは、法的に責任能力がないとされます。したがって、人に怪我をさせても損害賠償責任を負いません(民法712条)。自分の行為が法的に責任を問われることを理解するだけの能力がないとされるからです。この場合、法定の監督義務者である親が子供に代わって責任を負わなければなりません(民法714条1項本文)。

 

 親は、子供に対する必要な監督を怠らなかったこと、あるいは監督を尽くしても被害の発生を避けられなかったことを証明しなければ責任を免れません(民法714条1項但書)。しかし、これがそんなに簡単なことではありません。
 単に、日頃から子供に、「人に迷惑をかけてはいけない」、「他人に暴力をふるってはいけない」、「お友達をいじめてはいけない」などと言い聞かせていただけでは監督義務を果たしたことにはならないからです。

 

 これに対し、中学生にもなると、子供自身に責任能力が認められるようになりますので、他人に怪我を負わせたら子供自身が損害賠償責任を負わなければなりません(民法709条)。
 もちろん、親も子供を監督し、教育すべき義務を負いますので、日頃から子供がよく喧嘩をする、粗暴な行動をとる、などで問題を起こしていたのに放置していれば、親自身が被害児童に直接損害を賠償しなければなりません(民法709条)。

 

 例えば、以下のような事例で親の責任が問題となっています。
(親の責任を認めた事例)
 中学生同士のいじめや暴力で怪我を負った事件で、親が加害児童の日頃の喫煙、ピアスの着用、粗暴な行為、不良グループの結成等の問題行動を放置し、あるいは気づいていなかったことに監督義務違反を認め、400万円の損害賠償責任を認めた事例(さいたま地裁平成15年6月27日判決)。
(親の責任を否定した事例)
 中学校の教室で、カーテンフックを直そうと机上に椅子を置き足場として作業中の女子児童が、男子児童から椅子を足蹴りされたため転落死した事故で、加害児童がおとなしく真面目であったこと、事故前に他人に暴力を振るったり、暴力を振るうかのような言動があったとは認められないこと、親が加害児童の問題性に気づかず、これを放置した事情も見当たらないとして親の責任を否定した事例(富山地裁判決平成14年11月27日)。

 

 ただ、仮に親の責任が否定される場合でも、わが子に責任を負わせたまま被害児童の救済に目を向けない親もいないでしょうから、被害児童の親から補償を求められたら、親が子供に代わって損害を補償していくことになるのが通常です。

 

 ちょっとした喧嘩でも、被害が重篤であれば、損害は数百万円、数千万円に達します。怪我による損害は、個人賠償責任保険が適用されないことも多いですので、親としても他人事では済みません。

 子供同士のしたことだから仕方がないとか、被害児童にも非があったとか、学校にも責任があったとか、いろいろ言いたいことがあるでしょうが、まずは被害を受けた児童が苦しんでいる現実を直視して、どうやって問題を解決していけばよいかと考えていくことが大切です。

 

 次回は、友達に怪我をさせてしまった場合にどう対応すればよいかを考えてみたいと思います。

 

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2014.11.01更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 これまで多数の倒産事件を扱ってきましたが、弁護士として一番辛いのは、未だ営業中の会社が倒産手続を申し立てる場合です。この場合、決まってその日の業務終了後に従業員を一斉に集めて会社の倒産を伝え、従業員に解雇を言い渡します。事前に倒産を察して、心づもりをしている場合は未だよいですが、突然倒産を知って従業員が混乱する姿を見るのは辛いです。
 そこで、従業員の立場になって、会社が倒産したときに考えるべきポイントを整理してみました。

 

 倒産には、破産や特別清算、事実上の廃業などのように、会社が清算して消滅してしまう場合と、民事再生や会社更生のように、会社をリストラクチャリングして再建を目指す場合の二種類あります。いずれの場合も、従業員が解雇される場合がほとんどですから、解雇された後のことを考える必要があります。

 

 まず、会社から離職票をもらってハローワークで求職を申し込み、新しい就業先を見つけることが最初に取るべき行動です。転職先が直ぐに見つからなければ失業給付を受けます。会社の倒産の場合の失業は、会社都合による解雇ですから、7日の待機期間を経て、離職票を提出してから凡そ1ヶ月で1度目の失業給付を受けられます。

 

 勤務先に未払給与や退職金がある場合は、労働者健康福祉機構の立替払制度を利用することを考えます。年齢によって限度額が決められていますが、制度を利用すれば未払い給与と退職金の8割が機構から立替払いされます。当面の生活資金の目安を得るためにも早めに労基署に相談して給付のための手続をとりましょう。

 なお、給付を申請するには、倒産した会社から賃金の証明をもらう必要がありますので、倒産した会社とも連絡をとれるようにしておく必要があります。また、事実上の倒産の場合は、申請は中小企業に限られ、労働基準監督署長の倒産認定を受けなければなりませんので並行して手続をとります。

 

 立替払いの対象から漏れた給与等については、破産等の手続のなかで換価された財産から配当を受けることになります。ただ、破産とその他の倒産とで配当の順位が変わる部分が生じ、破産のなかでも未払となっている給与の対象期間によって、更に配当の順位が変わりますので、自分の持っている給与等の債権が配当を受けられるものかどうかを破産管財人や清算人に問い合わせてください。

 

 また、即時解雇された場合は、30日分以上の平均給与に相当する解雇予告手当を請求できます。予告期間が短くなれば短くなった分の解雇予告手当を請求できます。

 

 社内預金や預け金がある場合は、賃金の支払の確保等に関する法律3条による保全措置が取られているのが通常ですので、まずはその保全措置を通じて支払いを受け、回収できなかったものは、他の一般債権者と同じ順位で会社の残余財産から配当を受けることになります(会社更生の場合は、社内預金や預け金は、一定の限度で他の一般債権よりも優先的に取り扱われますので、回収の可能性は多少高くなります)。

 

 会社を通じて加入する財形貯蓄や外部積立の企業年金、退職金などは会社が倒産しても保全されますので、直接外部の積立機関(銀行、信託銀行、保険会社等)に請求して支払を受けるか、新しい会社に制度自体を引き継ぐことになります。

 

 いずれにしても会社に対して権利を有する場合には、各手続で定められる債権届を忘れないようにしてください。社員だから会社が把握してくれているはずだと思っていたら、配当に与れなかったということもありますので注意してください。

 

 なお、再建型の倒産で解雇にならない場合でも、会社は聖域なくリストラをしてきますので、再建のために、減給や退職金の減額、配置換えなど不安定な立場に置かれることになります。その場合でも、社員としての権利を不当に奪われないよう、組合や労働基準監督署、専門家に相談するようにしてください。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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