2014.10.19更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 報道によると、兵庫県が、自転車と歩行者の事故が増加している現状を受けて、自転車保険の加入を義務づける条例案を議会に提出します。条例が成立すれば全国初になるそうです。

 

 県下では、平成25年7月、神戸地裁が、事故当時小学校5年生だった子供が乗った自転車が歩行者と衝突し、歩行者の女性が重度の障害を負った事件で、加害少年の母親に約9500万円の損害賠償責任を命じる判決を下したことは記憶に新しいです。


 自転車は、気軽に利用できる交通手段、娯楽の道具として、老若男女問わず広く利用されています。しかし、免許制度がないことや、歩行の延長という意識が強いのか遵法意識が低いことも手伝って、ルールに反した運転や無謀運転によって事故を起こしやすい存在でもあります。自転車で人に怪我を負わせると、被害者を骨折させるだけで数百万円、後遺障害が残れば比較的軽度でも1000万円以上、打ちどころが悪く脳損傷などで障害が残れば数千万円から1億円以上の損害賠償責任を負担しなければなりません。

 

 小さいお子さんを抱える親御さんや、お孫さんを預かっているおじいちゃん、おばあちゃんなら、お子さんが自転車に乗って他人に怪我をさせると、お子さんに代わって損害賠償責任を負わなければなりません(民法714条)。その意味で、兵庫県の取組みは、被害者の救済、加害者の経済的負担の軽減という意味で非常に注目されます。

 

 ちなみに、民事の損害賠償の問題のほか、刑事上の罰則についても注意しなければなりません。

 

 自転車は、道路交通法上の車両(軽車両)ですから、ルール違反に対しては刑事罰を科せられることがあります。例えば、酒酔い運転、夜間無灯火、各種標識違反、信号無視、安全運転義務違反、事故発生時の救護義務違反、事故報告義務違反などです。また、自転車を運転していて不注意で人に怪我をさせたり死亡させたりすれば重過失致死傷罪(刑法211条後段)として自動車と同じく刑事罰が科せられます。

 

 自転車の運転には、人生のリスク管理上も決して軽視できない問題が潜んでいることを、この機会に今一度振り返ってみることが必要となりそうです。

 

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ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
弁護士好川久治
℡03-3501-8822|9:30~18:00

東京都港区虎ノ門1丁目4番5号 文芸ビル8階

2014.10.18更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 平成26年9月18日、警視庁は危険ドラッグを吸って自転車を運転した東京都内の男性を道路交通法違反(過労運転の禁止)で逮捕しました。
自転車運転者が危険ドラッグの使用で逮捕されたのは全国で初めてだそうです。

 

 ここで注目されるのは自転車運転者も道路交通法違反の責任を問われることです。自転車は道路交通法上「軽車両」とされ、個々の規定で適用が除外されない限り、同法の適用があります。

 

 道路交通法66条は、「何人も、前条第一項(酒気帯び運転の禁止)に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」と規定しています。そして、違反者に対しては、麻薬、覚せい剤等の違法薬物を使用した運転者につき5年以下の懲役又は100万円以下の罰金(117条の2第3号)が、危険ドラッグの使用等、その他の過労運転をした者につき3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(117条の2の2第7号)が科せられます。

 

 自転車には、自動車のように反則金を納めれば刑罰を科せられない交通反則通告制度の適用はありません。ですから、検挙されると、最悪の場合、直ちに刑罰を科せられ、前科者になってしまいます。

 

 自転車は、気軽に乗車でき、健康にもよいとして老若男女を問わず広く利用されていますが、交通ルールを守ることは当然の義務ですので、信号無視、酒気帯び運転、二人乗り、並走、傘を差しながらの片手運転、右側通行など、禁止された乗車方法にはくれぐれも注意が必要です。

 

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2014.10.15更新

 こんにちは。港区虎ノ門の弁護士好川久治です。

 

 平成26年3月12日、自転車に乗った区役所の職員が歩道に設けられた自転車道を走行中、81歳の女性と衝突し、女性をその場に転倒させ、左手首骨折の重傷を負わせる事故がありました。ところが、自転車を運転していた職員は、女性を救護せず救急車も呼ばずに立ち去ったといいます。


 この件で、兵庫県の公安委員会は、自転車を運転していた職員に対し、180日間の自動車の運転免許停止処分にしました。全国で9例目の事例だそうです。

 

 自転車は、軽車両として道路交通法の適用がありますので、自転車に乗っていて他人に怪我をさせれば、すぐに救急車を呼んで被害者を救護する義務があります。救護せずにその場を立ち去れば「ひき逃げ」となり刑事処分を受ける可能性があります。


 また、自転車には運転免許制度はありませんが、飲酒運転を繰り返す悪質な運転者やひき逃げの人身事故を起こした者などに対して、たとえ自転車の違反であっても、運転免許保有者に対しては、「点数制度によらない行政処分」として、6ヶ月を超えない範囲で自動車等の運転免許停止処分が下される可能性があります(法103条1項8号、施行令38条5項2号ハ)

 

 この区役所の職員の事例も、このような悪質な自転車運転者に対する対策強化から、警察が職員をひき逃げで書類送検をし、公安委員会が運転免許停止処分にしたものです。


 最近は、自転車に対する取締りが強化されているようです。自転車も凶器になる場合があることを忘れず、安全運転を心掛けたいものです。

 

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あんしん相続相談ガイドに掲載されました。
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