2016.05.15更新

Q.マイホームを建築するため工務店に工事を依頼しました。総額2000万円の工事でしたが、基礎工事が終わった段階で、他のお客さんの工事代金の入金が遅れたとかで資金が足らず工事を進められないと連絡がありました。着手時に半金の1000万円を支払いましたが、工事は未だ、業者の査定で150万円くらいです。このまま工事が中止になると残りの850万円が戻ってこないのではないかと心配しています。業者は破産するかもしれないと言っていますが、どうすればよいでしょうか。

 

A.業者が破産するかどうか分からない状況ですので、まずは業者と直ぐに面談をし、現状の確認と今後の事業の見通しについて、よく説明を受けるようにしてください。単なる一時的な資金繰りの悪化で、早晩正常化して工事を続けられるのなら、工事を一時休止にして業者からの連絡を待つのも一つです。他の業者に切り替えようにも未施工部分のお金が返ってこなければ発注することすらできないからです。


 資金的余裕があり他の業者に残りの工事を依頼する場合には、現在の業者との契約を合意解約し、既払金から出来高部分を控除した残金を返還してもらう約束を取り付けます。できれば公正証書にして、信頼できる方を保証人に立ててもらって、いつでも強制執行ができるように準備しておくとよいでしょう。このとき、他の業者に発注することによって当初予定していた予算を超えてしまいそうな場合は、超えた部分は損害となりますので、業者と交渉して補償してもらうとよいでしょう。


 難しいのは、合意をした後に業者が倒産してしまうときです。そうなると、せっかく約束をしても業者から補償を受けられなくなります。このあたりの判断は、専門的ですので大変難しいですが、業者からよく現在の状況を聴き取り、判断していく必要があります。

 

 業者が破産すると公言するなど、早晩破産することが分かった場合は、急いで契約を解約せず、破産手続が開始した後まで待つことを検討してください。早く解約をしてしまうと、既払金の返還の権利は他の一般の債権者と同列に扱われ、十分な返還を受けられなくなる可能性があります。

 

 これに対し、破産手続が開始された後、破産管財人に対して工事を続行するか、契約を解除するかのいずれを選択するのか確答するよう催告し、破産管財人の方から契約を解除してもらうようにすれば、既払金の返還の権利は、他の一般の債権よりも優先的に扱われるようになりますので、回収の可能性が高まります。このあたりの判断は非常に専門的になりますので弁護士とよく相談することをお勧めします。

 

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2016.05.12更新

Q.交通事故で怪我をしました。病院を受診した際、健康保険を利用できないと言われたのですが、本当でしょうか?

 

A.交通事故のような第三者による加害行為で怪我をした場合でも健康保険を利用できます。病院の中には、自由診療を強く勧め、健康保険は使えないと間違った説明をしてくるところがありますので、気をつけてください。

 

 健康保険を利用することのメリットは、大きくわけて二つです。


 一つは、①加害者が任意保険に加入しておらず、自賠責の補償しか受けられない場合に、治療費を抑えて休業損害や慰謝料の支払を確保することができること、ふたつ目は、②被害者側の過失が大きい場合でも、健康保険を利用すれば、当面の自己負担額を3割に抑えられることです。

 

 ①は、例えば、自由診療で200万円の治療費がかかる場合、自賠責からは120万円の給付しか受けられませんので、残りの80万円は一旦立て替えて、後で加害者に請求していかなければなりません。

 

 しかし、この場合でも健康保険を利用すれば、保険点数が自由診療と比べて低いので治療費が最大で半分程度に抑えられます。そのため、治療費が120万円以下であれば、自賠責保険から治療費全額の補償を受けられます。

 

 ②は、例えば、自由診療で200万円の治療費がかかり、しかも被害者の過失割合が7割だとすると、まともに加害者に請求していけば、200万円のうち被害者の過失割合を控除した3割の60万円しか請求できず、残りの140万円は自己負担となってしまいます(自賠責に請求する場合は「重過失減額」により、実際の負担額はケースどおりにはなりませんが、ここでは説明の便宜上、同制度は考慮していません)。

 

 これに対し、健康保険を利用すれば、保険点数が低く抑えられている関係で、治療費が最大で半分程度に抑えられるうえ、仮に半分の100万円の治療費がかかったとして健康保険の自己負担分3割の30万円を負担すれば、残りは健康保険で負担してもらえることになります。

 さらに、自己負担分も自賠責保険に請求できれば、7割の過失がある事故でも、ほんのわずかな負担で済むことになります。

 

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2016.05.10更新

Q.夫のスマートホンを偶然見てしまいました。すると、知らない女性との間でSNSのやりとりをしているのを見つけました。内容を見ると、どうみても浮気をしているとしか考えられません。しかも、かなりの長期間にわたり交際しているようです。写メで内容を撮りましたが、裁判で証拠となりますか?

 

A.夫婦の間でも個人としてのプライバシーは守られますので、夫や妻のスパートホンの個人的なSNSのやりとりを盗み見れば、プライバシー権を侵害する違法な行為となります。しかし、SNSの内容は夫婦の貞操を侵害する行為(不貞)を推測させるやりとりですので、プライバシー権を侵害した一事によって妻の権利が守られなくなるとすれば不合理です。

 

 違法な手段で入手したものが証拠として採用されないことは民事の裁判でもあります(違法収集証拠の排除)。しかし、実務的には余程悪質で違法姓の高い方法で入手したものでなければ裁判の証拠となります。本件でも、夫と相手の女性のプライバシー権と比較した場合の妻の権利侵害の重大性や、偶然スマホを見たという証拠を入手した経路・方法における違法性の程度からすると、写メで撮ったスマートホンの写真には証拠能力があると言えるでしょう。

 

 また、写真も証拠として提出することはよくあります。提出の際には、「写真撮影報告書」という形で、いつ、どこで、誰が、何を対象に、何のために撮影したものかを記載した報告書に、証拠としたい写真を別紙として添付し、各写真に番号を付して簡単な内容の説明をしたうえで、裁判所に提出することになります。

 

 もちろん、SNSのやりとりだけで直ちに不貞(性交渉)を証明できるわけではありませんので、いきなり写真を出しても直ちに裁判で勝てるとは限りません。裁判で証拠として提出する前に、可能な限り他の証拠による不貞の裏付けの可能性を検討したうえ、夫や相手の女性に対する追及の材料として最も効果的な提出方法を考えなければなりません。詳しくは弁護士に相談して適切なアドバイスを受けることです。

 

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2016.05.09更新

Q. 台風の後、車を置いている青空駐車場に行くと、隣地の古木の枝木が折れて落下し、車のボンネットに無数の傷が付いていました。台風による被害だと隣地の古木の管理者や所有者には責任を問えないと言われたのですが本当ですか?


A. 台風は自然災害ですから、その被害は不可抗力によって発生した損害として、原則として誰にも責任を問えません。

 

 しかし、台風があくまでもきっかけになったにすぎず、他人に損害を与える危険な状況を自ら招いたり、あるいは危険な状態を放置したりすれば、被害者は発生した損害について、その危険を管理できる者に対し責任を問える場合があります。

 

 例えば、台風が近づいているのに今にも落下しそうな看板を放置していたため、風で看板が飛ばされて他人の物を壊したり、人に怪我を負わせたりした場合です。

 

 ご質問の件も、古木の管理者や所有者が、古木の枝木が辺りに落下している状況を把握しながら、落下防止のために必要な対策を講じていなかったとすれば、たとえ台風が原因で枝木が落下し、青空駐車場の車を傷つけたとしても、少なくとも過失によって他人の財産を侵害したことになりますので、傷ついた車の修理費用を賠償しなければなりません。

 

 また、そもそも古木の枝木が折れやすい状況にあったということは、木の栽植又は支持に通常有すべき安全性が欠けていたということですから、古木の管理者には民法717条2項に基づく損害賠償責任が発生します。

 

 この場合、管理者が竹木の落下防止のための措置を講じるなど必要な注意を尽くしていたことを証明すれば、管理者は責任を免れます。その代り、今度は所有者が責任を負うことになります。この所有者の責任は竹木を所有していることに基づく責任ですから、過失がなくても責任を負わなければなりません。

 

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2016.04.28更新

Q. 交通事故でけがをしました。区役所の無料相談に行くと、治療が終わってから来てください、と言われました。なにか今のうちにしておくことはないでしょうか。

 

A. 区役所の方は、「治療が終わらないと加害者に請求する損害額が確定しないので、今は治療に専念しておけばよい」というつもりでおっしゃったのでしょう。

 

 しかし、被害に遭っても何もせず、人任せにしておくだけでは、いざ加害者に損害賠償を求めていく段階になって、あれもこれもと要求されて戸惑ってしまいます。やはり自分なりに将来の請求に備えて今行っておくべきことは事故直後から準備しておくべきです。

 

 例えば、事故状況に争いがある(将来争いが生じる可能性がある)なら、できるだけ記憶が鮮明なうちに現場の事故状況を思い出し、現場の写真を撮るなどして調査書としてまとめておくべきです。

 特に物損事故扱いとなっている場合は、事故直後の警察官の簡単なメモ程度しか書類は残りませんので重要です。人身事故扱いとなっていて警察の実況見分に立ち会う場合でも、調査書は記憶喚起のために非常に役立ちます。

 

 また、治療を続けるためにかかった費用は、ノートを作って領収書を貼りつけ、時系列で何がどれだけかかったかを記録に残しておくべきです。

 加害者が任意保険に加入している場合は保険会社が大半の治療費を支払ってくれますが、保険会社が支払の対象から外してくる治療費もありますし、交通費や付添人の費用、仕事を休んだことによる損害など、後で請求していくものは、予め証拠書類とともに保管しておくべきです。保険会社に領収書等を提出する場合も、必ずコピーをとっておいてください。

 なお、治療は、なんでも自分の判断で行えばよいというわけではなく、特に整骨院など病院以外で治療を受ける場合は医師の指示を前もって得ておく必要があります。これがないと後で治療費を請求できなくなるおそれがありますので注意してください。

 

 このほか、治療は自由診療扱いにするのか、健康保険扱いにするのか、健康保険扱いにする場合には健康保険から要求される第三者行為による傷病届や念書等の手配をする必要があります。

 

 加害者が任意保険に加入していない場合には、自賠責の仮渡金や内払金を請求することも検討すべきですし、生活が立ちいかなくなるおそれがある場合は一時的にでも生活保護を申請しなければならないこともあるでしょう。

 

 また、自分や家族が加入している医療保険や自動車保険も調べておくことです。見落としがちなのが、家族が加入している自動車保険の特約です。特約には、例えば、被害者の過失の有無を問わず一定の損害賠償金を受け取れる人身傷害補償特約や弁護士費用特約など請求にあたって注意すべきものがあります。人身傷害補償特約については、加害者との示談がまとまる前に保険金を受け取れることがありますし、被害者の過失が大きい場合には受け取れる金額が大きくなることがありますので、後で忘れていたということにならないよう予め調べておく必要があるでしょう。

 

 このほか、具体的事案によって準備すべきことは異なりますので、できるだけ早い時期に、交通事故の処理について経験豊富な弁護士に相談し、事故後の流れについて適切なアドバイスを受け、ある程度の見通しをもったうえで、安心して治療に専念できるようにしておくべきでしょう。

 

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2016.04.27更新

Q.最近年を取って病気がちになっています。自分が死んだあと、二人いる子供らが相続で揉めないか心配です。主人は既に亡くなっています。私は長男夫婦と同居していますが、弟と長男は仲があまりよくありません。


A.遺産相続(遺産分割)は、亡くなった配偶者や子、親、兄弟の遺産を身内で分け合う手続です。常日頃から関係が良好であれば何の問題もなく話し合いで解決できます。

 しかし、身内にはいろいろな事情を抱えた方がいます。仲が良い場合もいれば、そうでない場合もあります。異母(父)兄弟姉妹が相続人になって感情のもつれから争いとなることや、残された配偶者と生前ぎくしゃくしていた義理の両親、兄弟姉妹が相続人になることもあります。

 

 また、生前に故人の面倒をよく看た相続人とそうでない相続人、生前贈与を受けた相続人とそうでない相続人、故人の愛情を一身に受けた子とそうでない子、長男だからと親の遺産を多く相続したいと主張する、以前は遺産に関心がなかったのに経済事情の悪化から自分達の生活のために遺産を受け取りたいと思うようになるなど、事情は様々です。

 

 もちろん、身内との関係を良くしておくことが一番ですが、必ずしもそうでないことも多いご時世ですから、「相続」が「争族」とならないよう対策を考えておく必要があります。

 

 ご質問のケースは、お子さんらの仲が良くないということですから、今のまま相続が発生しますと、それぞれが自分の都合を主張して、収拾がつかなくなる可能性があります。そのならないためにも、誰にどの遺産をどのくらい相続させるのかを具体的に書いた遺言書を残しておくことが肝要です。

 

 遺言書は、簡単なものであれば、自筆で遺言の全文を書いて日付と自署捺印をしておけば最低限の要件を満たしますが、遺言の存在を公証する手段がありませんし、遺言の効力を争われる可能性が高まりますので、余計な紛争の火種を残すことにもなりかねません。

 

 そのため、できれば公証役場で公証人と証人2名の面前で遺言の内容を口授し、公証人が書き取った内容を遺言書として残す公正証書遺言にしておくことが確実です。

 

 公正証書遺言であれば、全国どこの公証役場でも公正証書の存在を確認できますし、公証人という公務員と信頼できる証人の面前で作成された公正証書の効力が争われる心配は少なくなります。

 

 なお、遺産の内容や規模にもよりますが、遺言書には、遺言の内容を実現する遺言執行者を定めておき、万が一のためにその方に責任をもって遺言の内容を実現してもらえるようにしておくことが望ましいでしょう。遺言執行者は、弁護士や司法書士などに依頼することが多いです。

 

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2016.04.20更新

Q.職場の同僚と不倫をした夫から離婚したいと言われました。子供も未だ小さいので離婚したくないのですが、離婚しなくてはいけないのでしょうか。

 

A.夫婦の一方が離婚を申し出ても他方がこれに応じなければ離婚は成立しません。

 

 離婚したくないと相手に離婚を法的に強制するためには、次の理由が必要です(民法770条1項)。

①不貞(配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと)
②悪意の遺棄(正当な理由なく夫婦の同居協力扶助の義務を果たさないこと)
③3年以上の生死不明
④強度の精神病で回復の見込みがない
⑤婚姻を継続しがたい重大な事由

 

 ご相談の件も、あなたの方に上記①から⑤のいずれかの事情がなければ、夫がいくら離婚したいと言っても離婚を法的に強制することはできません。必ずあなたの同意が必要となります。もし、あなたが離婚したくないと思っているなら、夫に離婚には応じないときっぱり意思を伝えることです。

 

 ただし、夫が離婚したいと申し出たことの意味は重大です。破綻の危機に瀕した夫婦関係を修復していくためには、離婚したくないという気持ちを伝えるだけでなく、これまでの夫婦の問題点と真摯に向き合い、改善に向けて努力し続けることが必要です。これを怠れば、離婚したいと申し出た夫とはいずれ別居となり、その期間が長期に及べば、結果的に上記離婚理由のなかの「⑤婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとして、離婚が認められることにもなりかねません。

 

 ところで、夫婦関係を元通りにすることはできないかもしれませんが、夫が浮気をしている客観的な証拠を確保できた場合は、夫は妻であるあなたに対する関係で信頼関係を裏切った「有責配偶者」となりますので、別居が多少続いたとしても、夫からの離婚請求は信義則に反して認められません。お子さんが幼少であれば少なくとも10年以上別居状態が続かなければ離婚は認められないでしょう。

 

 何を重視するかによって、離婚を申し出てきた夫に対する対応の仕方は変わってきますので、これが正しい、という決まった方策はありません。自分とお子さんにとって一番なにが大切か、どうすれば離婚による影響を最小限に抑えられるかを、専門家ともよく相談して決めていくことが大切です。

 

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2015.08.03更新

Q.先日、上京した高校時代の友人が東京で結婚披露宴をあげました。私は妊娠中で披露宴に出席できなかったので、せめてお祝いだけでもと思って花束を贈ったところ、花屋が日にちを間違えていたらしく結婚式の当日に花束が式場に届かなかったようです。私はそのことを友人本人から聞いて知りました。同時に送っていたメッセージカードに花束を贈ったと書いてあったのに届かなかったからです。花屋は友人の自宅に花束を配送すると言っていますが、私は、花屋に代金を支払わなければならないのでしょうか。

 

A.結婚式当日に届かないと意味がない契約では?

 

 今から花束を送っても意味ないとお考えなら、花屋との契約を直ちに解除することができます。そうすれば、花屋との契約は最初からなかったことになりますので、代金を支払う必要もなくなります。

 

 ご質問の花束は、結婚式当日に式場に送って、友人にメッセージとともにお祝いをするためのものです。花屋に注文を出したときに、そのことを話していた場合はもちろんですが、詳しく話しをしていなくても、結婚式の式場に配送を依頼している時点で、花屋にも注文者である質問者の意図は容易に推し量ることはできますので、花束の注文自体が、結婚式の当日に式場の間違いなく届けられないと意味のないものであることは明らかです。

 

定期行為は即時解除できる!

 

 このように、契約の性質や当事者の意思表示によって、一定の日時または期間内に契約を履行しなければ、契約をした目的を果たせなくなる契約のことを定期行為といいます。定期行為は、契約が履行されずに定められた時期を経過すると、相手方は直ちに契約を解除することができることになっています(民法542条)。

 

 質問者のケースも、結婚披露宴に参加できないので、せめてお祝いのためと思って結婚式当日に式場に花束を送ったのに届かなかったというのですから、もはや花束を注文した目的は果たせないといえます。
 したがって、花屋には契約を解除すると通知して、代金の支払を免れることができます。

 

今から花を送ってもらうと代金も支払わなければならない?

 

 花屋が言っているように、今から友人宅に花束を届けることを承諾すると、それは当初の契約を当事者の合意で変更することを意味しますので、これに応じるなら代金は支払わなければなりません。

 

 もちろん、変更に応じる義務はありませんので、もし今から配送してもらうなら、代金の減額を要求し、それに応じてくれるなら承諾すると交渉されてもよいかと思います。

 

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2015.07.31更新

Q.私は、昨年の暮れに1年間同棲した彼と別れました。同棲していたマンションは借家で私が保証人になっています。先日、そのマンションの大家さんから私のところへ連絡があり、家賃が2ヶ月分滞納となっているので払って欲しいと言ってきました。私は、彼に連絡をとりましたが繋がりません。マンションにも行きましたが居留守を使っているようです。このままですと私が家賃を払い続けなければならなくなります。どうしたらよいでしょうか。

 


A.保証人を外れるには大家さんの承諾が必要

 

 既に彼とは別れていますので彼に頼んで保証人を代わってもらうのが筋ですが、彼が居留守を使っているようですと話し合いは難しそうです。保証人から外れるにも大家さんの承諾が必要ですので、彼には出て行ってもらうしかありません。

 

 大家さんには申し訳ないですが、質問者が家賃を払い続けると彼は今のまま動こうとせず家賃も払わないでしょう。ここは一旦家賃の支払をストップして、大家さんに彼との賃貸借契約を解除してもらって彼に出て行ってもらうしかありません。この場合、退去するまでの家賃は質問者が払うことになります。

 

 ただ、大家さんが退去を要求しても彼が出ていかないと大家さんが裁判を起こさなければなりません。裁判を起こすにも費用がかかりますので、大家さんは裁判を起こしてくれないかもしれません。

 

事前求償金をもとに裁判を起こす!

 

 そこで、質問者から彼に対し、将来保証人として責任を負担することになる家賃について予め求償権を行使すること(事前求償権といいます。)を考える必要があります。 

 

 事前求償権は、家賃を滞納して保証人としての責任が発生すれば行使可能ですので、質問者は彼に対し、事前求償権に基づき期限到来済みの家賃の支払を求めて裁判を起こします。

 

 彼のもとに裁判所から出廷命令が来れば彼も出廷してこざるを得ません。彼が裁判所に出廷すれば、そこで彼に保証人の変更や担保の提供など保証人としての責任の負担を免れるための話し合いを求めることも可能です。

 

 彼が出廷しなければ裁判所に判決をもらって、彼の給与や財産を差し押さえて圧力をかけることも考えなければならないでしょう。

 

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2015.07.28更新

Q.先日、夫が自転車で歩道を走っていると、建築中のビルを覆う鉄製の囲いが倒れて夫はその下敷きになってしまいました。救急車で運ばれて幸い足の骨折だけで済みましたが、事故以来入院して会社を休んでいます。工事の施工監理の会社の担当者が見舞いに来てくれましたが、今後、治療費や会社を休んだことによる収入の補償など、誰に請求していけばよいのでしょうか。

 


A.施工業者、施主

 

 工事業者のどの段階に落ち度があったのかによりますが、原則として工事の施工業者を相手に治療費等を請求することになります。

 

 施工業者が誰であるかは、工事現場に、建設業法に基づく「建設業の許可票」や労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則が定める「労災保険関係成立票」に建設業者あるいは事業主の名称が記載されていますので、そちらで確認します。

 

 施主である注文者に対して責任を追及することができるのは、注文者が事故の原因となった囲いの設置についてした注意や指図の内容に落ち度があった場合に限ります。

 

設計者、工事監理者

 

 設計上のミスや、工事監理上のミスが原因となった場合には、設計に携わった設計者、工事監理者に対しても治療費等を請求することが可能です。
 設計者や工事監理者が誰であるかは役所の建築指導課で建築計画概要書を閲覧謄写すれば確認できます。

 

 下請業者の施工ミスが原因となる場合には下請業者に対しても請求可能ですが、小規模事業者の場合は建設業者を通じて確認しなければ分からないことが多いです。

 もっとも、下請業者の落ち度であっても、元請業者、工事監理者との間に雇用関係あるいはこれに準じる指揮監督関係があれば使用者として元請業者や工事監理者に対しても請求していけることが多いでしょう。

 

刑事記録をチェック

 

 また、重症事故であれば、業務上過失致傷罪で警察が立件し、罰金等の刑事処分が科せられる可能性がありますので、刑事確定記録を閲覧謄写することにより、事故の原因や事故の責任者を確認することが可能です。

 

 なお、通勤途中の事故であれば通勤災害として労災保険に給付を請求することも可能です。

 

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