2015.06.19更新

Q.先日、夫が同じ社宅に住む同僚の奥さんと不倫をしていることに気づき、大変悩んでいたところ、社宅でいつも仲良くしている友人が声を掛けてくれて、いろいろ相談に乗ってくれました。不倫相手が同じ会社に勤める方で、同じ社宅に住んでいるということで、内密にお願いしていたところ、相談していた友人が同じグループの奥さん方に話してしまい、それが社宅中に知れ渡ってしまいました。夫と不倫相手の奥さんの家庭との関係は最悪で、私も夫から逆切れをされ、私が子供を連れて社宅を出ていくことになりました。内密にお願いしていたのに、他人に夫の不倫のことを話してしまった友人に、慰謝料を請求することはできるのでしょうか。

 

A.プライバシー権の侵害により損害賠償請求が可能!

 

 友人を信頼して個人のプライバシーにかかわる事柄を話し、それが広く外部に知れわたってしまったということですから、友人に対してはプライバシーの侵害を理由に慰謝料を請求することが可能です。但し、損害の範囲は、不倫相手の家庭との関係が悪化したこと、夫に逆切れをされ子供を連れて社宅を出なければならなくなったことそのものの損害ではなく、それらの事情を踏まえるもののプライバシーを侵害されたことによる精神的損害の範囲に限られます。

 

 夫の不倫は家庭内の秘密にかかわる事柄であり、それが外部に明らかにされることによって家庭の平和、引いては個人の生活の平穏を害されることになります。このような私生活上の秘密について、みだりに公表されない利益はプライバシー権として法的保護の対象とされます。

 

 プライバシー権を直接規定した法律はありませんが、私生活上の秘密は、封書を勝手に開封する信書開披の罪(刑法133条)、医師や弁護士などによる秘密漏示の罪(刑法134条1項)、住居等をのぞき見る罪(軽犯罪法1条23条)などの法律でも保護されています。

 先例でも、個人の尊重を定める憲法13条の幸福追求権を根拠に、私生活上の事柄をみだりに公表されない権利をプライバシー権として保障し、その侵害に対しては不法行為による損害賠償責任を負うと判断しています。

 

賠償の範囲は嫌な思いをした精神的損害に限られる

 

 質問者のケースでは、夫の不倫の事実は家族内のセンシティブな秘密にかかわる事柄であり、普通の人であればみだりに公表されることを嫌がるのが通常ですし、公表されることによって家庭の平和や生活の平穏が現実に害されていますので、不倫の事実を他人の話した友人の行為は、プライバシー権を侵害する不法行為として、損害賠償の対象となります。

 

 ただ、不倫相手の家庭との関係が悪化したことや、夫が逆切れをして社宅を出なければならなくなったことは、友人が不倫の事実を他人に話して噂が広がったことがきっかけになったとはいえ、これらはもともと夫の不倫が原因ですから、これらの不利益によって被った損害全部の賠償を求めることはできません。

 質問者としては、他人に私生活上の事柄を知られて嫌な思いをしたという精神的損害に限り、友人に対して損害賠償を請求していくことが可能です。

 

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2015.06.13更新

Q.昨日、小学生の子供が放課後に学校の校庭で友達とサッカーで遊んでいたとき、子供が蹴ったサッカーボールが友達の顔面を直撃し、怪我をさせてしまいました。学校の先生が救急車を呼んで友達は病院に運ばれましたが、顔を6針縫う怪我でした。母親の私は、子供を連れて直ぐに病院に行き、先方のご両親に謝罪をしました。先方のご両親は悪気があったわけではないから心配しないでいい、と言ってくれていますが、どうしたらよいでしょうか。

 

A.被害の軽減のための努力を怠らないことが大切!

 

 友達同士の遊びのなかでの不運な事故ではありますが、怪我をした方としては痛い思いをし、治療費や交通費、付添などで経済的な負担が発生していますので、加害児童側としては、被害児童の親御さんが心配しなくてもよいと言っていることに甘えることなく、定期的な見舞いと、経済的負担の軽減に向けた努力を怠らないようにしなければなりません。

 

 子供同士の遊びに怪我は付き物です。怪我をしたことを全て法律問題とすることは現実的ではありませんし、お互い様の面もありますので、できるだけ当人同士の話し合いで解決することが望ましいと思います。

 

度を越した遊びで怪我をすると法的責任が発生することも! 

 

 しかし、一方が重症を負ってしまったとか、加害者の攻撃が遊びの範疇を超える暴力的なものであったとか、ルールを無視した危険なものであった場合は、話しが変わってきます。

 質問者のケースが、いずれに属するかは分かりませんが、遊びの範疇として予想される範囲のことであれば法的な責任問題は発生しませんが、悪ふざけがエスカレートして一方的に怪我をさせてしまったとすれば法的な責任が発生することになります。

 

 実務的には、法的責任があるかないかにかかわらず、怪我をした児童は痛い思いをし、メンタルな面でも経済的な面でも負担が発生していますので、これを加害児童側が無視するわけにはいきません。

 相手の親御さんが心配しなくてもよいと言ってくれていても、これに甘えて気遣いに欠けると、相手に被害者意識がめばえ、感情的な不満から法的問題に発展することはいくらでもあります。

 加害児童側としては、そのような被害者側の気持ちに配慮しながら、定期的な見舞いと経済的負担の軽減に努めるべきでしょう。

 

日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度の利用を!

 

 質問者のケースは、放課後の校庭での遊びの最中の事故ですから、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度が利用できる可能性があります。同制度は、被害児童側に発生する損害の全てをカバーするわけではありませんが治療費と、顔面に残った傷跡が後遺障害と認定される場合の障害見舞金が一定程度支給されますので、これだけでも被害児童側の負担はかなり軽減されます。

 

 友達同士の遊びでの事故ですから、できるだけ話し合いで円満に解決することは以後の学校生活のためにも必要です。そのためにも、最低限の被害者への配慮は怠らないようにしたいものです。

 

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2015.06.10更新

Q.先月、小学生の娘が公園のブランコで遊んでいると、ブランコの留め金が外れて落下し、頭を打って救急車に運ばれました。幸い命には別状はありませんが、2週間入院し、母親の私も仕事を休んで病院に付き添いました。今後しばらく通院しますが、後遺障害も心配です。これらの費用について、公園を管理する市に対し、補償を求めることはできるのでしょうか。

 

A.公園管理者である市や県に対して国家賠償請求が可能!

 

 公園のブランコは、市が設置管理する公の営造物です。公園のブランコは市民が広く利用することが前提となっていますので高度の安全性が求められます。ブランコを通常の方法で使用している際にブランコの留め金が外れることはあってはならないことですから、ブランコの保守整備に問題があったとしか考えられません。

 

 したがって、ブランコを設置管理する市には国家賠償法の公の営造物の設置管理上の瑕疵に基づく損害賠償責任が発生します(国家賠償法2条1項)。
公園の設置管理について県が補助金を出しているなど、費用を負担している事情があるなら県もまた損害賠償責任を負います(国家賠償法3条1項)。

 

事故発生の経緯、状況、事故後の対応について記録に留める!

 

 お子さんは小学校ですので、治療費、交通費のほか、通院に親御さんが付き添ったことによる付添費、通院期間に応じた慰謝料、万が一後遺障害が残った場合の程度に応じた慰謝料、将来の逸失利益(後遺障害のために失った労働能力を補てんする損害)が請求の対象となります。

 

 事故発生の経緯、状況、事故後の対応などは、後で争いになることもありますし、ご自身に加入される傷害保険などの手続に必要となりますので、きちんと記録に留めておくとともに、念のために、警察には業務上過失傷害罪での被害届も提出しておくことをお勧めします。

 

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2015.06.07更新

Q.先日、小学校2年生の息子が友達と道路で遊んでいたとき、過って工事中の隣家のブロック塀にぶつかって塀が崩れ、足を骨折する怪我をしてしまいました。息子は友達の蹴ったサッカーボールを追いかけてブロック塀の傍に向かったところ、業者が道路脇に積み上げていたブロックに足を引っ掛けて塀にぶつかったそうです。息子の治療費は請求できるのでしょうか。できるとして誰に請求すればよいのでしょうか。

 

A.第一次的な責任は工事業者にある!

 

 事故の原因は、工事業者が道路にブロックを放置していたことと、子供がぶつかっただけで崩れたブロック塀の強度のなさにあります。

 道路は人や車が行き来する場所ですから、工事中とは言え、ブロック塀を放置していたことに工事業者の過失があることは明らかです。したがって、工事業者に対しては、不法行為(民法709条)に基づき損害賠償を求めることが可能です。

 

 また、ブロックに足を引っ掛けて転倒しただけなら骨折という重傷には至らなかったと思われますので、ブロック塀の強度に問題があったことが怪我の原因と考えられます。

 工事の施工に問題があったとすれば、工事業者が危険なブロック塀を施工し、必要な事故防止策もとらずに放置していたことが事故の原因ですので、やはり工事業者は責任を免れません。

 

工事が終わった後なら家主に対して請求できることも! 

 

 ところで、事故発生時点の工事の進捗が未だ工事中であるなら、工事業者がブロック塀の管理について第一次的責任を負うと言えますが、工事も概ね終わり、発注者である隣家の家主に引き渡された後であるとすると、家主にブロック塀の管理占有が移ったとも評価できますので、その場合には、家主に対し、ブロック塀という土地工作物の占有者あるいは所有者としての損害賠償を求めていくことも考えられます。

 

 損害については、治療費だけでなく、未だ小学校2年生ですので、通院に親御さんが付き添ったことによる通院付添費、交通費、通院期間に応じた慰謝料、万が一後遺障害が残った場合には、後遺障害の程度に応じた慰謝料、将来の逸失利益(後遺障害のために失った労働能力を補てんする損害)も請求可能です。

 

損害算定にあたり、お子さんの過失が考慮されることがある! 

 

 なお、道路で遊んでブロック塀に足を引っかけたことについてお子さんに過失があると評価されないかが問題となります。
 確かに、遊びに夢中になっていて道路のブロックに注意が向かなかったお子さんにも事故発生の一端があったのかもしれません。しかし、足を引っ掛けて転倒して怪我をするだけなら骨折という重大事態には至らなかったでしょうし、ブロック塀の崩落と骨折という事故の本質的な面についてお子さんの過失を問題にするのは酷のように思います。
 仮に、お子さんの過失を認めざるをえないとしても、ブロック塀の崩落と骨折という損害全体からすると5~10%程度の評価に止まるでしょう。

 

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2015.06.04更新

Q.先日、隣家が火事となり、自宅の屋根の一部と壁が焼けてしまいました。また、消防車の放水により、隣家に面する部屋が水浸しになり、家財道具が台無しになりました。火災の原因は、漏電のようです。隣家は築年数が古く、配電設備に火花が散って火災となったようです。借家人の話しによると、以前にも漏電が原因と見られるボヤ騒ぎがあり、家主に改善を要求していたようですが家主が応じなかったようです。
 火災による損害の補償は請求できないと聞いたことがありますが、泣き寝入りするしかないのでしょうか。


A.漏電火災と隣家の損害賠償責任について

 

 火災の原因が家屋の老朽化による漏電であったということは、家屋の構造自体に欠陥があったともいえますので、質問者としては、家屋の瑕疵(通常有すべき安全性を欠く状態)を主張して、第一次的に家屋の占有者である借家人に対し、第二次的に家屋の所有者である大家に対し、延焼による損害の賠償を請求していくことを考えるべきでしょう

 

失火責任法とは

 

 失火による延焼被害は、木造家屋が多く、住宅が密集する日本の住宅事情を考慮した失火の責任に関する法律により、火元に重大な過失がなければ、損害賠償を請求できないことになっています。「重大な過失」とは、注意義務を著しく怠った場合、言い換えれば、わずかな注意を払っていれば被害の発生を防げたのにその注意すら怠った場合を言います。寝タバコ、ガスコンロやストーブの火の放置、ガソリン等の揮発性の高い物質を火の近くで取り扱う、などがこれにあたります。

 

 漏電は、不可避的あるいは偶発的に発生することも多いものですので、必ずしも重大な過失があるとは限りません。
 質問者のケースでは、家屋が老朽化し、過去に漏電による火災も発生したことがあるということですから、家主としては必要な修繕等を行うべきであったといえます。したがって、この点を捉えて、家主に重大な過失があったとして責任を追及することは考えられます。しかし、修繕を行わなかったことが常に重大な過失があったと認められるかというと疑問もあります。

 

土地の工作物責任を追及する余地がある

 

 他方、隣家は築年数が古く、配電設備に火花が散って火災となったということですので、見方を変えれば、家屋の維持管理に本来あるべき安全性が備わっていなかったとも言えます。

 

 このような土地の工作物の設置又は保存の欠陥が原因で他人に損害を与えた場合には、工作物である家屋の占有者が損害賠償責任を負うことになっています(民法717条)。占有者が十分な注意を尽くしていれば責任を免れますが、その場合、所有者が代わって責任を負うことになります。この所有者の責任は過失の有無を問いません。

 

 しかも、火災の場合、失火の責任に関する法律の適用もないとする先例がありますので、もし漏電による火災について、失火の責任に関する法律では責任を問えない場合でも、家屋の設置又は保存の欠陥を理由に損害賠償を求めていく余地があります。

 

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2015.06.01更新

Q.先日自転車を乗っていると、後方から走ってきたバイクにぶつけられ、転倒して骨折をしてしまいました。バイクに乗っていたのは高校生で、よそ見をしていて私の存在に気づくのが遅れたそうです。私は救急車で病院に運ばれましたが、バイクは自賠責保険にしか加入しておらず、治療費も自費で立て替えなければならない状況です。
 事故で入院をしている間は仕事を休まなければならず、退院後もしばらく松葉づえで仕事に復帰できるのは数か月先になりそうです。相手は高校生で収入もないため、親に請求したいと思っていますが可能でしょうか。

 

A.当然には親に責任を追及できない?

 

 バイクに乗っていたのが高校生ですと、損害賠償については高校生が責任の主体となりますので、原則として両親に対しては治療費等を請求することはできません。例外的に、高校生の子供がバイク事故を起こす具体的な可能性を両親が予見できた場合には、両親に対して治療費等を請求していくことが可能です。


 また、両親がバイクの所有者であるなど、「運行供用者」にあたる場合にも、治療費等の怪我による損害に限り、両親に対して補償を求めていくことが可能です。

 

高校生ともなれば自分のしたことは自分で責任を負う

 

 交通事故等による損害賠償を求めることを、不法行為責任を追及するといいます。不法行為責任を追及するには、加害者に不法行為の責任を理解する能力が必要です。この能力のことを「責任能力」といい、おおよそ中学生以上の子供であれば責任能力があるとされています。

 

 小学生が自転車に乗っていて他人に怪我をさせれば両親が代わって損害賠償責任を負いますので、被害者は両親を相手に治療費等を請求していくことが可能ですが、さすがに高校生ともなると、バイクに乗っていて他人に怪我を負わせれば自分にどんな責任が発生するか理解できますので、たとえ未成年者であっても高校生自らが賠償義務を負わなければなりません。この場合、両親は原則として責任を負いません。

 

親が責任を負わなければならない場合とは?

 

 しかし、両親に、子供が事故を起こす具体的な可能性を予見させる事情があり、これを回避することも可能な状況があれば、両親には、自らの子供に対する監督責任を怠った過失がありますので、被害者は両親に対しても、直接不法行為を根拠に損害賠償を求めていくことが可能です。

 

 質問者のケースでは、高校生の子供が、日頃から無免許あるいは交通違反を繰り返していた、免許を取り立てで直前にも同様の交通事故を起こしていた、両親が高校生の無謀な運転を見て見ぬふりをしていた、などの事情があれば、両親も子供が事故を起こすかもしれないことを具体的に予見できたと言えますので、治療費等を請求していくことが可能です。

 ただし、過去に事故を起こしたこともなく、具体的に事故を予見させる事情がなければ両親の責任を問うことはできません。

 

運行供用者責任とは?

 

 また、両親が、自動車損害賠償保障法3条が定める「運行供用者」にあたれば、物損以外の治療費等の損害に限り、補償を求めていくことが可能です。

 

 運行供用者とは、自己のために自動車を運行の用に供する者、つまり、自動車の運行について利益を得、自動車をコントロールする立場にある者のことで、自動車の所有者がこれにあたります。質問者のケースですと、バイクも自動車にあたりますので、両親がバイクの所有者であれば、両親に対して補償を求めていくことが可能です。

 また、両親が所有者である場合のほか、子供にバイクを買い与えていた、バイクの維持管理費を両親が負担していた、などの事情がある場合も、「運行供用者」として責任を追及できる可能性がありあす。

 

 なお、運行供用者の責任を問う場合の補償の対象は、人身損害の補償に限りますので、自転車の修理費等の物損の補償を求めることはできません。

 

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2015.05.29更新

Q.先月、自転車で通勤途中、前方から走ってきた車が道路工事を避けて自転車側に寄ってきました。私は、道路脇に寄って停止しようとしたところ、ちょうど側溝の鉄製の蓋が浮きあげっていたので、その蓋にタイヤを取られて転倒してしまいました。警察の実況見分の結果、転倒は、道路脇の鉄製の蓋が老朽化のために折れ曲がり、浮き上がっていることが原因であることが分かりました。私は、道路を管理する国又は県に治療費等を請求することはできるのでしょうか。

 

A.道路を管理する国や公共団体には重い責任が!

 

 自転車の転倒の原因が、道路脇の側溝の鉄製の蓋が外れやすくなっていたことにあったということですので、道路を設置し、管理する国又は公共団体に対し、怪我による損害の賠償を請求することができます(国家賠償法2条1項)。

 

 道路は、自動車や自転車だけでなく、子供から高齢者まで様々な歩行者が日常利用する場所ですから、高い安全性が求められます。特に、道路の陥没や危険な段差、マンホールや側溝の蓋あるいは道路脇のフェンスが外れているなど、当然安全だと期待されるべき営造物に欠陥があれば、重大事故につながる可能性がありますので、その設置又は管理に責任を負う国や公共団体には重い責任が課せられます。

 

国家賠償法に基づく損害賠償請求 

 

 質問者のケースも、道路工事でスムーズな往来に制約があったなかで、自転車が自動車を避けて道路脇に寄らざるをえない状況は容易に予想されることですし、そこに折れ曲がり浮き上がっている鉄製の蓋が放置されていたとすれば転倒事故が発生することは容易に予想されます。

 国や公共団体が、このような危険な状況を放置したことによる責任を負うことは当然と言えるでしょう。

 

 質問者は、怪我の治療に掛かった入通院費用、交通費、仕事を休んだことによる補償、怪我の治療に伴う精神的苦痛に対する慰謝料等を、道路を管理する国や公共団体に対して請求していくことが可能です。

 

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2015.05.23更新

Q.先月、父が亡くなりました。私には姉と兄がいますが、父は生前私が独身で不憫に思ったのか、遺産を全て私に譲るという遺言を書いてくれて、私に預けました。遺言書は封筒に入れて保管していますが、今後どうすればよいでしょうか。


A.自筆証書遺言の保管者は開封前に家庭裁判所で検認手続を!

 

 遺言は、自筆証書遺言のようですから、保管者である質問者は父が亡くなった後、遅滞なく、遺言書を父の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出して、検認の審判を申し立てなければなりません。

 遺言書が封書におさめられ封印されている場合は、家庭裁判所で相続人やその代理人の立会いがなければ、開封することができないことになっています。

 遺言書の検認手続をせずに遺言を執行したり、封印されている遺言書を家庭裁判所外で開封したりすると、5万円以下の過料の制裁を課せられることがあります。

 

遺言書の存在を隠して相続手続を進めると相続人の資格を失うことも!

 

 検認の審判は、相続人に対して遺言書の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、訂正の有無・方法、日付、署名の仕方、保管方法など、検認の日における遺言書の内容を明らかにすることにより、遺言書の現状を記録にとどめ、遺言書の偽造や変造を防止するための手続です。

 

 検認は、遺言書の現状を保存するための手続ですので、検認がなされたかどうかは遺言書の効力には影響しません。検認をしたからと言って無効な遺言書が有効になることはありませんし、逆に、検認がされなかったからと言って有効な遺言書が無効となるわけでもありません。

 

 なお、遺言書の存在の知りながら検認をせず、しかも他の相続人にも遺言の存在を隠して遺産分割協議を進めた場合には、遺言を隠匿したものと見られて、相続人の資格を失うことがありますので注意が必要です。

 

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2015.05.20更新

Q.私は姉と二人姉妹で、姉は嫁ぎ、私は独身です。母は3年前に亡くなり、私は父と二人で暮らしてきました。父が2年前に脳梗塞で倒れて車椅子生活をするようになってからは私が父の介護を続けてきました。
 父も私の将来のことを心配し、父の財産を全て私に譲ってくれると言って、公正証書遺言を作成してくれました。
 ところが、姉が父から自宅の権利証を渡され、持ち出してしまいました。私は、姉に対して何か言えることはあるのでしょうか。

 

A.父の本心を確認しなければなりません

 

 まず、父が姉に自宅の権利証を渡した本心を確認しなければなりません。単に預けただけなのか、姉が父を惑わしたり、騙したりして父の意思に反して権利証を持ち出したのか、自宅を姉に譲ろうとしたのか、いろいろな事情が考えられます。

 

 父が姉に権利証を預けたのであれば、なんのために預けたのかを父に確認してもよいでしょう。
 父は健在ですから、たとえ父が質問者のために遺言を残してくれていたとしても、亡くなるまでは、自宅は父の財産ですから質問者が父の意思に干渉することはできません。

 しかし、父は脳梗塞で倒れて自由がきかない状態で、しかも高齢であるとすれば、預けることの意味を本当に理解しているとは限りません。物事を理解し、判断する能力に衰えが見られるなら家庭裁判所で成年後見人を選任することも検討しなければなりません。

 仮に、父が姉に権利証を預けた理由がはっきりしているなら、父の意思が正しく実現されるよう、介護する妹として姉の行動に目を光らしておく必要があるでしょう。

 

成年後見人の選任を検討する

 

 次に、姉が父の意思に反して権利証を持ち出したのであれば、父のために権利証を返還するように姉に要求すべきです。これは、法的な要求ということではありませんが、父の意思に反して大事な権利証を持ち出すこと自体、穏やかではありませんから、姉妹として当然要求すべきでしょう。先ほどと同様に、父の判断能力が不十分になっているなら成年後見人を選任し、後見人から姉に対して返還を求めるべきです。 

 権利証だけで自宅を無断で処分できるわけではありませんが、実印や印鑑カードまで渡しているようなら悪用の危険がありますので、念のために改印手続をしておいたほうがよいでしょう。

 

父の本心なら尊重されるべき!

 

 以上に対し、父が本心から姉に自宅を贈与したり、売却したりするつもりで権利証を渡したとすれば、それは父の意思ですから質問者がとやかく干渉できることではありません。

 質問者にしてみれば、父の介護をして、父からも財産を全部あげると遺言まで残して貰っていますので、姉に対して不満を抱くのは無理もありませんが、父が遺言に反する生前処分をしたとすれば、その部分について遺言は撤回されたことになりますので(民法1023条2項)、遺言を理由に文句を言うこともできないでしょう。

 


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2015.05.17更新

Q.公正証書遺言を作成するメリットと作成方法を教えてください。

 

A.公正証書遺言は信用できる公文書!

 

 公正証書遺言は、公証役場で遺言者が公証人の面前で遺言の趣旨を口授(口頭で趣旨を伝えることです)し、公証人が遺言者から聞いた内容を書き記して、遺言者と出頭した証人二人に読み聞かせ、内容に間違いがないことを確認したら遺言者及び証人二人がそれぞれ署名捺印をし、最後に公証人が署名捺印をして出来上がります。

 

 公正証書遺言は、公証人という公務員が職務上作成する公文書ですので、内容が改ざんされたり不明確のため後日争いになったりする心配がありません。遺言者の遺言能力や遺言の意思に問題があると争われることも少ないです。

 

全国どこの公証役場からも遺言の存否を確認できる! 

 

 また、遺言が公証役場に保管され、全国どこの公証役場からでも遺言の有無、保管場所を検索できますので、遺言の控えが紛失したとしても保管場所で写しの交付を受けて内容を確認することができます。


 このほか、筆談や手話通訳でも遺言を作成できますので、口のきけない人や字の書けない人でも作成できますし、他の遺言のように遺言者の死後、家庭裁判所で検認を受ける必要もありません。

 

 他方、要件を満たす証人が二人必要となることと、費用がかかることが多少難点です。ただ、上記メリットを考えると、遺言は公正証書遺言にしておくことが確実です。」

 

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